――役作りで印象に残っているのは、どんなことですか?
脚本家の森下佳子さんから「最初の彩子の“鼻息の荒さ”がとても大事」と言われていました。「1話での『手柄を立ててやる!』という彩子がいて、入れ替わりを経験し、手柄よりも大切なものに気付いていく成長を見せたい」という意向があったんです。
日高としては、「サイコパスな日高が、途中から“もしかして、いい人?”って印象が変わっていくので、怖さとのメリハリをつけてほしい」ということも。最終話の展開も分からない中で、複雑な事情を抱える日高の感情を演じるのはすごく難しかったですね。
なので「日高(になっている彩子)が難しい」と森下さんに言ったら、「それは大丈夫、できる。それより、1話の彩子の方だよ」と返ってきて。「“悪い女”は得意じゃん」と(笑)。鼻息荒い役のほうがやったことないジャンルだろうから、そちらを頑張ってほしいと言われました。私はどっちも難しかったんですけど(笑)。
森下さんの脚本からは、いつも“次はどんなものを出せるんだ”と挑戦状を叩き付けられるような、良い緊張感と、新しい挑戦へのワクワク感と、不安と……。成長させていただける感覚があります。
――先が気になるのは、視聴者と同じだったんですね(笑)。
そうですね。最終話がどうなるかはギリギリまで知らなかったので、「どんな風に終わるのかな?」「彩子に戻れるのかな?」って思いながら演じていました(笑)。
――日高(になっている彩子)という役を「掴めた!」と思えた瞬間は?
演じているうちに、「あー、この人は入れ替わりを楽しんでるんだな」と思うようになって。そこから、日高のことが理解できるようになりました。でも途中までは、迷うことが多かったですね。悩んでいる間に物語が進んでいって、あっという間に彩子に戻って、気付いたら終わっていました(笑)。
――だんだん理解していった……というのは、日高と彩子の関係と同じですね。心が近づいていく二人を見て、どう思われましたか?
4話で「日高陽斗という人間を知りたいからよ」と彩子が日高に言ったとき、ちょっとラブのにおいがしたけれど、それはラブではなくて、その人のことを知ろうといつも考えている間に生まれた愛情みたいなものだったと思うんです。
「この人も、誰かの為にそうしていた」と知ったとき、入れ替わっているからこそ芽生えた想い……、恋愛を超えた大きな愛みたいなものが二人の間に生まれるのは、しょうがないんだろうなと。理解し合えないところまで理解し合ってしまった2人は、表裏一体だから。
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