「自由だからこその良さというのが音楽にはある」ーー和楽器バンドの進化と挑戦

2021/07/05 07:30 配信

音楽 インタビュー

詩吟・和楽器とロックを融合させた唯一無二の存在・和楽器バンド

和楽器バンドの新作『Starlight』E.P.は、表題曲「Starlight」がフジテレビ系月9ドラマ(『イチケイのカラス』)の主題歌に抜擢されるなど、従来の和のテイストに縛られないサウンドでファンを驚かせた。しかし、試行錯誤の末に今作のようなJ-POP的な音にたどり着いたというよりも、これまで敢えて見せていなかった面を解放したという印象が強い。まず、ボーカルの鈴華ゆう子は今作では彼女の武器のひとつである節調をかなり抑えた。

【鈴華ゆう子】結成当初は、頭ひとつ抜けるためには特徴的なことをやらないと聴いてもらえないと思ってボーカルの印象を残すことに必死だったし、和楽器隊(箏・尺八・津軽三味線・和太鼓)も和楽器らしさを前面に出そうとしていたんですけど、今は元々やりたかったことをやれているというか、自由度が増しました。

今のJ-POPシーンにも飛び込んでいける音づくりをした


「Starlight」だけでなく、「ブルーデイジー」や「雨上がりのパレード」も含め、非常に自由度が高くポップ要素が強いEPに仕上がった。

【町屋】収録曲は4曲ですけどアルバム1枚分に匹敵するぐらい多彩な表現ができたと思うし、今のJ-POPシーンにも飛び込んでいける音づくりをしたので、割と勝負している感じはありますね。これで売れなかったら、うちは多分ダメじゃないですかね(笑)。

そんな冗談が飛び出る一方、和楽器隊(箏・尺八・津軽三味線・和太鼓)は活動歴が長くなってきたからこそのこだわりを語った。

【蜷川べに】「三味線は“らしさ”を全面に出してしまうとクセとして捉えられてしまうので、なるべく楽曲に寄り添って溶け込むようなアプローチを意識しました。

【いぶくろ聖志】初期は和楽器の音使いや技法を敢えてふんだんに盛り込んで、一般のリスナーの方に目新しさを与えることを意識していましたけど、今はリスナーの方も和楽器の技法に馴染んでいるから、『あ、またこの感じの音がきた』と思われないように音の組み合わせ方を新しくしています。

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