――ワニは自分の運命がどうなるのかに気づいていませんが、映画からは何気ない日常を送れることこそが幸せというメッセージが伝ってきます。お二人のこれまでの人生で「あのときにあれがあってよかったな」と思うものはありますか?
中村:僕は若いときに蜷川幸雄さんの舞台に出させてもらったことかな。デビューしてまだ2、3年の頃だったので、本当に右も左もわからない状態で。でも、蜷川さんは最初、何も言ってくれないんですよね。どこから出て、どう動くのかも指示がなく、とにかく自由にやれと。それで自由にやった結果、ボコボコにされるんですけど(笑)。あの経験があったからこそ、今があると思っています。ただ、あそこまで毎日行きたくないと思うくらい怖かった現場は、あれ以降ないですけどね(笑)。
山田:ものすごくいい話ですね! 胸に染みました。
中村:その後、福田雄一さんの舞台に出たときに「そんなことも指示してくれるんですね」と言ったら、「お前、俺をなめてんのか」と怒られましたけどね(笑)。
山田:僕はこの前「100日間生きたワニ」のメンバーでLINE LIVEをやったときに、倫也さんが「忙しいの?」と聞いてくれて。そのときに「これを越えたら楽になるから、頑張りな」と言ってくれたのが、ものすごくうれしかったです。前を歩いてくれている方からそう言われると、すごく救われるんですよね。
中村:「ブレイクする」って、「ブレイクスルー」という言葉から来てるんだって。だから、大事なのはブレイクしそうなのを過ぎ去ってからじゃない?
山田:倫也さんの言うことは頭がよすぎて、僕にはちょっと(笑)。でも、肝に銘じておきます!
取材・文=馬場英美
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)