野田洋次郎、音楽の才能を認めてくれた“友人”桑原彰に感謝「表現者には才能を気付いてあげる人、支えてくれる人が必要なんだなと」<Interview>

野田洋次郎がインタビューに応じた 撮影:永田正雄

――ゴウ役の菅田さんとは、ドラマ「dele」(2018年、テレビ朝日系)以来の共演ですね。

何も嫌な部分がないというか、とても健やかで過ごしやすい人。役者の仕事は待ち時間が長いんですけど、菅田くんも、淑子役の永野さんも沈黙が続いても気まずくなったりしないんです。2人といる時は穏やかないい時間を過ごすことができました。

――菅田さんとは映画の主題歌「うたかた歌」でコラボを!

昨年の7月ぐらいに、こんな曲ができたからって、菅田くんにデモを送ったんです。別に菅田くんが歌うとかっていうのは関係なく、お礼の意味を込めてのことだったんですけど、すごく喜んでくれて。それから半年ぐらいたって、一緒に歌うことが決まったのでレコーディングをしました。

あの曲は二人で歌うことが一番の完成形。菅田くんはこの先もきっと歌を続けるだろうし、音楽人生を進んでいくのであれば、何かいいヒントだったり、気付きになるようなものになればいいなと思いました。

――野田さん自身が“音楽の神様”の存在を感じる瞬間はありますか?

山田監督を見ていてもそう思いますけど“神は細部に宿る”という言葉を本当に信じていて。ちょっとしたディテールだったりとか、「これ、本当に聴こえるの?」って言われるような音でも、そこには確実に必要だと信じて入れたりするという作業を何時間もかけてやったりするんです。

どんなに些細な音であっても、そこに必要だと思ってちゃんと置いてあげることで、その楽曲の世界をしっかりと根底から支えていて、それが彩りになるということは、きっと“音楽の神様”は存在するんだろうなと思っています。必要のない言葉や音は絶対にない。

山田監督も同じようなことを考えていらっしゃるんだなということを強く感じました。セリフや役者の動き、美術と照明も何一つ無駄なものなどない。そこに意味があるから存在するのであって、それの集合体が“映画の奇跡”なんじゃないかなと。山田監督は、それを信じている方なんだと思います。


◆取材・文=月山武桜