「クリエイターズ・ファイル」#75 野良サウナ愛好家・サウナ田ヒロユキ

「サウナ室の中でテレビ番組を見た中年が突然ハハハと笑い出すことがある。それは暑くて険しい状況の中で見るテレビだと、家で普通に見るテレビより過酷であり、耐えられる制限時間がある。そのため身体がこんな時こそ娯楽を感じようと働く。結果そこまで面白くなくてもハハハと笑いが発生するのではないか?」とサウナ田氏撮影=森山将人(TRIVAL)/(Ⅽ)クリエイターズ・ファイル

普通の汗、もう出ねえっす(笑)

――サウナ田さんは、なぜ顔を隠しているのですか?

ごめんなさい、ちょっといろいろ活動してまして。ややこしくなっちゃうんで。

――サウナの表と裏を知り尽くすサウナ田氏にお聞きします。サウナとは、何ですか?

僕が書いた「熱あるところは、みなサウナ」という本でも言ってるんですが、僕は、普段よりも少し汗をかくような場面の全てを「サウナ」と捉えています。
秘密がバレた時、嫌なこと言われた時、借金取りが来て扉をどんどん叩かれて居留守したままずっと耐えている時、うんこを我慢している時……どれも僕にとってはサウナです。

むしろ、そういう場面の方が人のコアなところから汗が出てくるじゃないですか。冷や汗、脂汗というやつです。僕くらいの領域になると、運動やサウナで出すような汗は出し尽くしちゃいましたから。普通の汗、もう出ねえっす(笑)。
不倫して、女房から証拠を突きつけられた時の方がよほど汗をかきますよね。そうした汗をかいた後の水風呂こそ、本当に“かたづく”のです。

――ところで、「かたづく」とはどういうことを言っているのですか?

サウナに入った後に『ととのう』と言う人がいますけど、「ととのえたのなら、その荷物はどうするの? ととのえっぱなし? 場所取るだろ、かたづけろよ」って思って。
いませんか。ととのえたのならそれをトレファクやセカンドストリートで売ったり廃品回収に出したり後輩に譲ったりしないと、そのととのえたものは頭の中にずっとあるわけで。僕だったら、それをかたづけてゼロにしたいのです。
もしサウナ思春期真っただ中の人がいましたら、一緒に「野良サウナ」でかたづきましょう!

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