衣装合わせの時、柄本佑さん演じる漫画家・俊夫がかつて人気連載作家として執筆をしていた頃「どんな風貌をしているのか?」という話になりました。その時に柄本さんご自身が試しにとガシッと髪をかき上げてちょんまげにしてみたら、その場にいたスタッフ一同の満場一致でちょんまげ頭に決まりました。
衣装は、ビビットな色合いで派手な柄シャツにすることで、売れっ子作家のエネルギッシュさと若さを感じさせるものに決まりました。いざ撮影に入ると、ちょんまげ頭で額があらわとなったことで、よりくっきりと映えた柄本さんのペン先への鋭いまなざしが、俊夫の漫画に対する情熱と執念のようなものを感じさせてくれました。「この俊夫になら、佐和子はきっと恋をできる」そう思わせてくれる無言の迫力がありました。
余談ですが、柄本さんは撮影現場でヘアメイク衣装部の皆さんから「殿!」と呼ばれてましたが、それはこの髪型がゆえんかもしれません(笑)
黒木華さんは仕上げのホワイトを入れるシーン、柄本さんはトーンを削るシーンを撮影する時に立ち合わせていただきました。お二人とも作業する姿がなじんで見えて驚いたのを覚えています。まるで実際に描いているような視線の動きだったり息遣いで、自然な美しいシーンになっていてすてきでした!
自身の原稿がお二人の手で目の前で仕上がっていく様子に感動しましたし、初めての映画の撮影現場でとても貴重な経験をさせていただきました。
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