「モネ」の場合、地元と東京の距離が百音の恋人・菅波とのすれ違いのドラマも盛り上げる。
百音が東京に行く時、東京での再会は「1300万人分の2の奇跡」と菅波は言っていたが、上京した途端、その奇跡が起こった。
コインランドリーで再会したふたりがコインランドリーを定番のたまり場にして、そこでお互いの信頼や愛情を育んでいく。東京での3年は百音と菅波の仲が深まる3年でもあった。
登米では1週間ごとに東京から登米に菅波が来ていて当たり前に会えていたし、百音が上京してからも当然会えていた。しかし、菅波が登米の診療所に専念するようになり、滅多に会えなくなってしまう。
そうすると、いかに互いに意義深い会話ができていたか、お互いのかけがえのなさに気づいていく。こうして交際に発展し、ようやく結婚……と思ったら、百音が亀島に、菅波が東京に戻ることになってまたすれ違い。
でもふたりは物理的な距離でだめになるような弱い関係ではなく、むしろ、離れていてもお互いのやりたいこと――気象と医療を通して人々の幸福を守り支えることを行う信念は共通で、それさえあれば離れていることにはならないという考え方のもと、これからも関係は続いていくのである。
場合によっては、今後、気仙沼編で、遠距離によって心が離れてしまう危険性もないとは言えないが、百音と菅波ならそんなことにはならないであろう。
第95回で「一緒にいることって、どういうことでしょう」という百音の問いに「一緒にふたりの未来を考えるってことじゃないですか」と答えた菅波の言葉は、ふたりの関係の強さを物語っている。
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