すっかり「#俺たちの菅波」として支持された坂口健太郎は、10月19日からはじまった火曜ドラマ「婚姻届に判を捺しただけですが」(TBS系)では“不毛な恋の隠れ蓑のために500万円を貸す男”という、またまた、いささか個性的な役を演じている。
他に好きな人がいるので他に結婚とか恋愛は考えられないため抑止として偽装結婚するというユニークな発想の人物。内容の違いはあれど言っていることが理解されにくい点においては菅波と若干かぶっているようにも感じる。
菅波とは違うところは、一見スーツが決まるスマートな人物でありながら私生活は朝なかなか起きられず起き抜けの様子は別人のように頼りないギャップだろうか。
菅波はプライベートがほとんど描かれていなくて朝起きた時どんななのかわからないが、ギャップの魅力というよりは言動が徹底している魅力のほうだろう。つまり坂口健太郎は様々な役が演じられる優秀な俳優であるといえる。
よく切れるクールな頭脳を持った人物と、当たりの柔らかい肌触りのいい布のようなムードの人物を出し入れする時、単純に表裏を瞬時に切り替えているのではなく、空が刻一刻と姿を変えてひとつとして同じ風景がないような、つかみどころのない、だからこそ善や悪にシンプルにカテゴライズできなく見える。
色んな色が使用されているのに不思議と調和が作られているパウル・クレーの抽象画のような人物像。これは「モネ」においてが菅波に限ったことでなく「モネ」の登場人物はたいていそういう印象を受ける。
菅波は百音に対して恋愛のようで恋愛にカテゴライズされない同士的な関係性のようでもあり、とにかく常に百音が迷った時、最善の助言をくれる。人生の傍らにひとりほしい「#俺たちの菅波」。
坂口健太郎が以前、演じた「とと姉ちゃん」の星野武蔵も誠実で学者肌で、切ない別れ方も含めていいキャラだったから、朝ドラ史上、ヒロインの相手役を2回やって2回ともすばらしく魅力的にした坂口健太郎を朝ドラの功労者として讃えたい。
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