開戦前の昭和9年、一人の海軍将校がロンドンに降り立った。その男は、のちに真珠湾攻撃を指揮することになる提督・山本五十六。国家の命運を背負い、アメリカをはじめとする列強との軍縮交渉に臨もうとしていた。
「交渉が決裂すれば、日本は国際社会でさらに孤立する」。アメリカの絶大な国力を知り、戦争は避けるべきだと考える五十六は、ぎりぎりまで決裂回避への道を探り続ける。しかし、軍備拡大を目指す本国の海軍首脳部から、「結論ありき」の交渉を命じられる。
優先するべきは、国民の命か、国家の誇りか。
組織の中で板挟みになり、苦悩の末に、五十六が下した「ある決断」とは。