“あな番ロス”だった木村多江、劇場版撮影で「『みんないる!』と一視聴者のように喜んじゃって(笑)」<「あな番 劇場版」連載 Vol.6>

「あなたの番です 劇場版」は公開中(Ⅽ)2021『あなたの番です 劇場版』製作委員会

――それにしても劇場版はドラマ出演者がほとんど集まり本当に豪華でした。

ドラマではそこまで一堂に会することはなかったんですが、映画だと全員が一緒のカメラに収まっていたのはぜいたくでしたね。私も、「あっ、みんないる!」とイチ視聴者のように喜んじゃって(笑)。集合しているシーンは本当に高揚して、うれしくなっちゃいました。ただみなさん忙しい方たちばかりなので、スケジュール調整が大変そうで…。撮影も撮れるところから撮りましょう!みたいな感じで、なかなか会えない人もいたりしました。あと撮影予備日がなく、これ撮り切れなかったらどうなるんだろう?みたいな日がいくつもあって(笑)。現場は和やかなのに、間違えられない緊張感はありました。

――そんな豪華出演者がクセのあるキャラクターを演じるのが面白いですよね。

役者さんの1 人1 人のキャラクターがすごく立っているんですよね。怖いんだけど面白いという。“あな番”が多くの方に支持された理由として作品の構造や考察する楽しさと同じくらい、キャラクターの面白さがあると思います。
犯人が分かった後も、あのキャラクターはこのとき何をしていたんだろう?と探したくなるというか。そして皆さんが細かいお芝居をされているので、その思いを裏切らず、何回見ても楽しめるようになっています。今回は、ドラマとは関係性が変わってきたりしているので、なんでそうなったのかを想像しながら見るとまた楽しいと思います。

――木村さんがお好きなキャラクターは誰ですか?

私は生瀬(勝久)さんが演じていた田宮さんです。一見普通なんだけど、ちょっと変わっているクセのある感じが好きでした。映画では、田宮さんが結婚パーティーの司会をしているのですが、本編はちょっとしか映っていないのに、歌を歌ったりと自由に演技をされていてもう本当に見ていて楽しくって。
みんなテストではたくさん笑い、本番では笑いをこらえて撮影に臨みました。でも田宮さんだけではなく、皆さんに共通することなんですが、極端ではあるんだけど、現実にちょっといそうなところがあって…。それがリアルだなと思います。

生瀬勝久演じる田宮と、管理人(竹中直人)(Ⅽ)2021『あなたの番です 劇場版』製作委員会


――最後に劇場版の見どころを教えてください。

巧みに緻密に構成されているので、本当に誰が犯人なのか分からないと思います。とにかくひとつひとつを見逃さないように、考察しながら楽しんでいただきたいです。
“あな番”は怖くてたまらないのに次が見たくなる、スパイスがいっぱい入っている作品です。驚きがジェットコースターのように次から次へと起こり、刺激しあって、刺激物を取らずにいられなくなるというか…。あのドラマを見ていたときの感覚を呼び戻す劇場版。とにかく面白い映画になっているので、ぜひ楽しんでください。


取材・文=玉置晴子