川上なな実「コンプレックスをなくすきっかけに」 “すべて”を隠さずさらけ出した写真展を渋谷2会場で開催

2022/01/04 23:45 配信

芸能一般

“川上なな実”の写真展「すべて光」が1月2日から16日(日)まで渋谷の2会場で開催

3月1日から俳優業に専念する“川上なな実”の写真展「すべて光」が、1月2日から16日(日)まで東京・渋谷ヒカリエ、BARダイトカイの2つの会場で開催されている。同写真展は「全裸監督」や多数の映画出演、恵比寿マスカッツでの活動など幅広く活躍し、2月28日をもって引退するセクシー女優・ストリッパー“川上奈々美”としての「第2のステージ応援プロジェクト」の一つ。撮影に「確信を持ってコンプレックスをさらけ出した」という覚悟で臨んだ川上と、「裸は綺麗なもの」と語る写真家・熊谷直子氏。それぞれ思いや初日を終えた感想などを聞いた。


「大変なのは当たり前」「その先にある希望が形に」


――会場の仕上がりを改めて見ていかがですか?

川上:感無量です…あ、感無量って人生で初めて言った!この規模で2会場での開催は初めてで準備も大変で、「ようやろうと思ったな」って自分で思いました(笑)。レタッチはゼロで、面白い写真もいっぱいあります。

ヒカリエの方は温もりを感じる明るい展示ですね。ダイトカイの方はまた色が違って…もう野生児というか、自由に生きている感じ。2会場でコントラストが出せたし、今回は写真家と演者どちらかが前に出るとかではなく本当に2人の展示会が作れたなって思います。


――川上さん自ら設営に関わられたんですよね。

川上:ヒカリエの裏を通って準備するなんてもう人生で一回しかないだろうし(笑)。受付担当をお願いしたり、金庫を買ったり、プリント代の振込まで自分管理で、プロデューサーみたいな立ち位置でお金の流れも把握できました。

これまで、現場でちょっとしたお金の問題が起こったり、クライアントさんとの連携が上手くいかなかったり…という思いを何度かしていて。自分で資金集めからクラウドファンディングまでやってみて「これは大変だ」と知ったからこそ、周りの人たちに感謝しないとなって気が引き締まりましたね。ものづくりの裏方をやってみたことは本当に良い経験になりました。


――展示写真を見ていると、2年間でも顔や印象が変わったような写真もありました。

川上:確かに、時はそんなに経ってないのに顔が変わってるなって私も思いました。

撮影期間は特に濃い時期で、心境がかなり変わったし、人に優しく出来るようになった気がします。過去の私は、自分のことばかり考えて、自分のペースで生きて、そのせいで一度周りの人がいなくなった感覚があったんです。一人になった時、どうしたらみんな手伝ってくれるのか…人を動かすって大変だから、自分が大変って言ってたら誰も動かないし、まずは自分が誰よりも、そして見えないところでも動いてないといけないんだって。みんなを無理に合わせるんじゃなく、相手のペースも尊重してお伺いをたてるということを学んで。

大変なのは当たり前だけど、その先には希望があって、結果が形になるんだってことを実感できましたね。


――具体的に印象に残っている写真は?

川上:ダイトカイの方で設営に関わった中で特に印象に残っているのは、海に突っ込んでる写真。10月の夜に海に入って激寒で、まじで死にそうになりました(笑)。でも、くまこと私、極限まで酷使しないと出なかったギリギリの限界を撮りたかったんです。

BARダイトカイの展示写真


そしてみんなに伝えたいのが、白黒のアップの、黒いドレスを着て涙を流している写真です。くまこはいつもかっこよく撮ろうとするんだけど、あの写真だけは「ありがとうの気持ちで撮りたい」って言ったの。そしたら泣いちゃった(笑)。あの写真が私は一番好きです。見てくれてる人へのメッセージ性がある写真ですね。


「裸は綺麗なもの、その魅力を凝縮させたかった」


――熊谷さんは、川上さんへの印象をどんな風に感じながら撮影されていたんでしょうか。

熊谷:なな実ちゃんの今までやってきたこと、それが私にとってはすべて光だと思っていて。裸は綺麗なもので、それをなりわいにするかっこよさ、その魅力を凝縮させたかったんです。

元々知り合いでたまたま再会した時、すっごい離れたところから分かるくらい、綺麗だし持ち前の可愛さはもちろん、内側から放ってるオーラやエネルギーみたいな物がすごくて、めっちゃ変わったなって思ったんです。写真家としての本能で撮りたいと思いました。
彼女も「全裸監督」が放送された後、役をやりきった評価が戻ってきた時で、認められた自信が内から出ていた時期だったみたいでした。

撮影期間は変化が凝縮された2年間で面白かったです。会うたびに、吸収したいことを吸収できてそれが身になっていて、自信になっていることが伝わってきました。

たぶん根っからのエンターテイナーで、隠さず全部見せてくれました。彼女自身が「これも面白いでしょ」って俯瞰で見てる自分がいて。変な顔しててもかわいくて、全部生きてるんです。やっぱりかっこつけたいじゃないですか、普通なら「これは撮らないで」「ここは無理」とかあると思うけど、見せてくれる度胸がある。そんな彼女の撮影はすごく面白かったです。

純粋に「裸って綺麗」って思ってもらえたら一番幸せかもしれない。こんな言い方すると良くないかもしれないけど、特に今って裸は悪いものみたいに捉えられがちなところがあるけど、服を着替える時、お風呂に入る時、みんな毎日裸になるんじゃないのって。それを悪いものだと思うのってなんだろうって。もちろん外を裸で歩けとは言わないけど、見ちゃだめって思うのはもったいない。

川崎ロック座のステージに乗っている川上さんを見て、「光」って言葉がバーンときたんです。笑ってる顔も、悩んでる顔もすべて彼女なんだって気持ちにもなって。
そして顔以上に体ってみんな違ってて、特に裸はその人の個性が一番出るもの。その違いも含めて良い個性…“光”だと思えたら、私は面白いと思っています。だからこそ「すべて光」というタイトルで、人と違っていいんじゃないっていう思いです。


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