【試写室】「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」骨の髄まで愛せる異色作

2017/04/23 06:00 配信

ドラマ コラム

観月ありさと頭がい骨のツーショットも話題


基本的に取材でもなければ事前に新ドラマ情報を極力入れずに初回を見るタイプということもあり、最初はタイトルから古い一軒家に住む変人研究者・櫻子の家の畳の裏あたりに死体が埋まっているのかと思っていたが…そういうんじゃないのね。うん。(って、原作知っておけ)

まずは藤ヶ谷。強い女性に巻き込まれるのは、いつだってこういうイケメンだ、という平安時代からの格言通り、実に絶妙な巻き込まれイケメンっぷり。それも心の声がまた面白く、悔しいがいちいちかわいい。そのルックスでそんなかわいらしさを出されたら、われわれの勝ち目がないでしょうが!

ハナから勝ち目はないとして、そんな“巻きメン”の彼。ただただ巻き込まれてオドオドしているだけではなくちゃんと言いたいことは言うし、主張がとてもピュア。

これ以上褒めるのはあれなので、割愛するが、とにかく月曜夜遅めの時間にバラエティーで女性をとりこにしている彼の姿とはまた違った一面が見られる。見どころは「いくぞ少年!」「少年じゃありません! 26歳です!」のくだり。筆者もBUSAIKU!?な顔でゲラゲラ笑ってしまった。

自虐はほどほどにして、植物オタクの主任学芸員の役で出演するのはわれらが上川氏。草花を罵倒したり、かと思えば褒めたり、結構な変人の役だ。ひょうひょうとしていて謎の多い役柄だが、ライトな雰囲気が新しい。少しビジュアルもいつも以上に若く見える。

もともと実年齢よりだいぶ若く見える方だが、今回はより若々しい。藤ヶ谷との絡みで見せる、さりげない優しさが“内助の功”のようでとてもいいですぞ。

おっと、出過ぎたまねを。では、そろそろ“姫”の話題を。

26年連続で主演を務めるというのは、もちろん周囲の支えもあってこそだとは思うが、ひとえに彼女を見たいというファン、そしてドラマ制作者たち撮る側の心をつかんで離さない何かがあるのかも。

悪く言うつもりは毛頭ないが、観月はいつだって観月だ。女優で「高身長、言いたいことをはっきり言う、強そう」でキャスティング会議をすれば、恐らく彼女の名前が最初に出てくるのではないだろうか(失礼)。今回はそれに“変人”“スイーツ好き”というスパイスを加えて新鮮味を出している。

変人の部分は、もちろん骨を愛するということ。よく夜の社交場などで「ねえ記者さん、骨の髄まで愛して~!」と言われることがあるのだが、そういう意味ではなく、物理的に骨を愛しているそうな。既にSNSなどで話題にもなっているが、頭がい骨を持ち上げて見詰める姿はとても斬新。

不思議と気味悪いなという印象を与えないのは、観月演じる櫻子が骨を扱うとき快活で愛らしい顔をしているからかも。決して感情移入できるとは言いづらいが、彼女の行動・言動を理解しようかなという気にはさせられる。

その他、“博物館の華”愛理役の新川に、実は意外と優しいんじゃないか疑惑の山路刑事役・高嶋、“ばあや”こと家政婦役の鷲尾、初回のゲスト・原田佳奈三倉茉奈の“新マナカナ”などなど、とても骨っぽく魅力的な人物たちがそろっている。初回からエンジン全開だ。

またしても長くなってしまったが、このドラマのじわじわくる面白さが骨身に染みてきて、書きたいことが止まらなくなってしまった。まいっか、だって「継続は力なり」だ。

違うか。