探偵学校のドラマをやってみませんか、とプロデューサーに持ち掛けられて、面白そうですねと企画書を作ったのは、かれこれ10年以上前。今回それが日の目を見ることになって、喜びとありがたさの後に、不安が押し寄せてきました。本当に今イケるこれ?古くないか?色んなことが変わってるんじゃないか?そんな思いで改めて内容を吟味し、案外いけるかもと思ったのは、探偵学校への興味が、今でも自分の中で瑞々しくあったからです。探偵ドラマも学園ドラマも既視感との闘いですが、探偵学校ならいかがでしょうか。小難しいテーマやメッセージはひっそりと忍ばせつつ、まずは単純明快に面白いドラマを目指したつもりですので、ぜひ肩肘張らずに楽しんでもらえたらと思います。
コロナ禍の自粛生活が続いて久しい昨今、探偵事務所への浮気調査の依頼は増加しているのをご存じですか?ヨメだのダンナだのには今日は出勤と告げ、会社のホワイトボードにはテレワークと書き、実は愛人としけこんでいる輩は、何気ない顔して皆様の横に潜んでいるかもしれません。人間はつくづく一筋縄ではいかない生き物ですね。そんな人間の裏の顔を探るのが、ご存知、探偵です!
オリジナルで未知なる題材を取材しながらドラマ化するとなると、併走して頂ける作家には高い作家性と粘り強い胆力が必要です。となると、ここは八津さんしかない!一緒に探偵学校で尾行の授業も受けて頂きました。実際に池袋から秋葉原まで探偵の先生を尾行したものの、予期せぬ動きに振り回され、電車やらデパートやらの人混みでは追跡に四苦八苦。しかし尾行をしていると、顔を前にしているだけでは分からないその人の謎が立ち上がってくるような気がして貴重な体験となりました。やはり、人間は謎があるから面白い。こんな感覚を視聴者にも届けたい!そんな思いを、八津さんに原作・脚本で見事に具現化して頂きました。
探偵学校に入学する主人公・飛田匡は、何かが気になると眠れなくなる体質のため、なるべく世に無関心でいようと決め、破天荒な父親への反動から安定志向を心がけるという、およそヒーローとは別種の、ある意味フラットな現代の若者です。そんな匡を自然体で演じられる方と考えた時、鈴鹿央士さんはまさにピッタリだと考え、お願いしました。映画やドラマの中で見せる自然でかつ存在感のある鈴鹿さんの佇まいが、匡の成長をリアルに視聴者のハートに響かせることでしょう。
探偵学校生徒、他人の秘密が大好きで好奇心旺盛な芹沢朋香役は、堀田真由さん。ご出演頂くことで、作品が晴れやかなリズムに貫かれたかのようです。探偵学校校長・新偕理子役は、檀れいさん。探偵という職業の本質を体現して頂きたいと思います。そして破天荒で神出鬼没な匡の父の推理作家、飛田迅平役には板尾創路さん。その佇まいで、作品の根幹に貫かれる“謎”を背負って頂きたいと思います。
フェイクやデマが飛び交うポスト・トゥルース社会が常態化した醜い現代、依頼者のためには地べたを這ってでも“真実”を追求する、そんな泥臭い探偵を描くことは、世の中への異議申し立てとして大いに意義があることと信じています。ハラハラしたり笑ったりしつつ、色々あるけど人間って面白いもんだよな、とそんな気持ちがポジティブに抱けるドラマにご期待ください!
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