比嘉愛未が語る穏やかでストイックな“俳優論” 激動の2021年は「自信になりました」

映画「吟ずる者たち」より (C)2021ヴァンブック

芝居も“百試千改”「チャレンジし続けて、それに対して折れない心が必要」


――比嘉さんご自身も、お酒はよく飲まれるのでしょうか?

大好きです。一番幸せだなと思うのは、大好きな人たちとおいしいご飯を食べながら、そのご飯に合うお酒を飲むことですね。

――一人でも飲まれますか?

一人でも飲みます。「今日は仕事をすごく頑張った!」とか、自分を褒めてあげたい日ってあるじゃないですか。そういう時にはおいしいお酒を「ご褒美だな」と思いながら、ありがたくいただいています。

――酒造りに関して「百試千改」、つまり百回試して千回改める、という言葉が出てきましたが、これはお芝居とも共通するように思えます。

そうですね、本当にすてきな言葉だなと思います。お芝居も正解がないと思っているので、とにかくチャレンジし続けて、それに対して折れない心が必要だなと思います。

この作品の時代の人々には、今の時代に見習うべき点がいっぱいあると思うんです。便利になりすぎている影響か、最近の人はメンタルが弱くなっていると思うんです。ストレスという言葉は皆さん口ぐせのように出るけど、昔はストレスなんて言葉はなかったんじゃないかなって。

みんなが究極に大変な状況の中、耐えて耐えて、どんどん切り開いていくのが当たり前だったのに、便利になったからこそ弱くなってしまった、という考え方もあると思うんです。

コロナ禍でみんなが落ち込んでしまっているかもしれないような時代ですが、だからこそ百試千改の言葉や精神から「日本人ってもっと強いはずだよね」と学ぶこともできると思います。

比嘉愛未 撮影:山田健史


ストレスの解決は「信頼できる友達と家族に聞いてもらうこと」


――比嘉さんご自身は、ストレスとどのように向き合っていますか?

一番早い解決方法は、信頼できる友達と家族に聞いてもらうことだと思います。相談までいかなくても、聞いてもらってちょっと吐き出すだけで、軽くなると思うんです。

でも、一番理想的なのは自然の中に行って、ただただボーッと無になること。とりあえず自分が抱えているモヤモヤを切り離せる場所に自分を持っていくことですね。海や山に行って、ただ深呼吸するだけでもだいぶ違うと思います。

――自然が少なくなっていることも、現代人のストレス耐性に影響しているかもしれないですね。

あると思います。いろいろなものが便利になったことに対するアンチ、というわけではないんですが、自然とストレスに対する抗体を持たなくなってしまっているんじゃないかなと思うんです。

大小はともかく、ストレスを抱えてない人はたぶんいないと思うんですが、この作品の時代は、それをあまり感じさせないぐらい、生きるのに精いっぱいだったと思うんです。

何が正解かは分からないですが、不自由だからこそ、それぞれ人間力があったり、家族同士がすごく心を支え合っていて、絆も深かったりする。隣人との関わりもそうです。私も東京に出てきて15年たつんですが、他人との関わりが薄くなっていることも、心の免疫力が下がる原因の一つではないのかなと思います。

比嘉愛未 撮影:山田健史


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