比嘉愛未が語る穏やかでストイックな“俳優論” 激動の2021年は「自信になりました」

比嘉愛未 撮影:山田健史

代役を務めた主演ドラマに写真集発表…2021年は「本当に濃い一年」


――便利な時代になったことで、時間、場所を選ばず仕事ができるのもストレスを増やしそうですね。比嘉さんは、ご自身の人生設計を考えたりすることはありますか?

自分の人生に関しては何も考えてないんです。以前は真面目に「何歳までにこうして…」と思ったりもしたんですが、結果的にそれが自分を縛ってしまうことになってしまっていたんです。

夢を持つことは悪くないと思うんですが、私はあえて流れに任せてみようと今の時点では思っています。先のことは分からないので、それを楽しめるゆとり、余白のようなものを自分の中で作っておけば、いい方向に流れていくんじゃないかなと思うんです。

でも、漠然とイメージしていることはあります。例えば、「今年は今までにない役をやってみよう」と思ったら、それを言葉にして自分のチームに伝えたり。お仕事を選ぶと言ったらおこがましいようですが、以前は求められて応えるという感覚だったんですが、そうではなくて自分もしっかり「作る側」という気持ちになれたんです。だから、今やるべきことをはっきりと言えるようになったんです。やっとですけどね。

映画「吟ずる者たち」より (C)2021ヴァンブック


2021年は「激動といえば激動なんですけど、必要な年でした」


――2021年の比嘉さんは、代役を務め上げた主演ドラマ「推しの王子様」(フジテレビ系)や、今年発売の写真集「本心」(集英社/2月24日[木]発売)が発表されるなど、活躍が目立っていた印象ですが、何かを意識して取り組んでいましたか?

それこそ流れに身を任せていたからこそ、面白いウェーブがありました。本当に濃い一年でした。激動といえば激動なんですけど、必要な年でした。体力的にも精神的にも厳しい時はあったんですが、できなくはない。「できるんだ自分!」って思えたので、確実に自信になりました。

結果が全てなのではなくて、人は“チャレンジした人”に興味を持ったり、勇気をもらったりすると思うんです。だから、私は常に挑んでいたい。だから、逃げずにできたことは、自分でも「よくやったぞ」と、2021年の年末に思いました。

「やってみないと分からない世界がある」ということを去年はものすごく体感したので、この感覚は大事だなと思っています。挑戦して、挑んで、全て吸収して、今度は自分がアウトプットしていけば面白い循環になるんじゃないかな。だから変化を恐れずにいたいけれど、かといって変化しなきゃ、進歩しなきゃ、成長しなきゃと思うことに執着もしたくないので、気負わずに自然な人でいたいです。

――深いですね。一冊の本になりそうです。

最近、自分の中ですごくクリアになったんです。点と点がつながって、やっと自分の生きやすいポジションといいますか、位置付けが分かってきたんです。他者と比べてしまうことも多少はまだありますけど、それによって焦ることはなくなってきています。

それも鍛錬なので、襲ってきては自分で消化しての繰り返しなんですが、そのバランスがやっと取れるようになってきた。そんな今だからこそ、面白いチャレンジをどんどんやっていきたいです。

◆取材・文=山田健史

比嘉愛未 撮影:山田健史

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