――石田さんはヨーロッパ企画さんの本公演中だったので撮影現場には来られなかったと伺っていますが、出来上がったMVを見た感想は?
石田:ちょっと思ったより自分でも感動してしまって(笑)。
山口:いいことじゃないですか(笑)。
石田:「何となくこんな感じになるかな?」と思って書いた部分とか、「これどうやって撮るんだろう?」みたいな部分とか、結構あったんですよ。
山口:脚本に1行で書かれていることに、とてつもない労力を使ったりしてます(笑)。
石田:そうなんですよね。脚本家って何げなく書いたりするんですよね、良くないかもしれないですけど(笑)。でも、出来上がった映像を見てすごいなって思いましたし、大場さんの表情や歌声が入ったら普通に感動してしまいました。
――大場さんは撮影を振り返ってみて、いかがだったでしょうか。
大場:最初に話したavexさんとの相談の時に、「1人で撮影したくないです」っていうお願いもしていたんです。卒業ソングのMVなので、最近は特にその卒業するメンバーだけの出演ってことが多かったんですけど、私は大好きなメンバーと撮りたいですっていうリクエストをしました。
それこそ、今回ヨーロッパ企画さんが名古屋で過ごしてきた私の姿を映してくださるということで、メンバー選びにもこだわりました。「きっとこの先、自分が歌っているMVはもう一生ない」って言い切れる、本当に最後の作品なので、そこに最後に一緒に映ってほしい思い入れのあるメンバーを選んだので、そういう意味では撮影の日はずっとワクワクしていました。
石田さんがおっしゃったように、私は「ファンの人たちが12年間応援していてよかったって泣きたくなるくらい、エモいMVを作ってほしいです」ってずっとお願いしていて、それをかなえるためにヨーロッパ企画さんからこのお二人が出てきてくださったので、お会いする前から信頼していましたし、台本の初稿から「すごくいい!」って思ったんですよ。
だから、MV撮影に関しては台本通りにやれば絶対に良いものになるんだろうなって思っていました。
現場に行って監督とお会いした時は、私めちゃめちゃ人見知りなんですけど、ずっとお願いしたかったヨーロッパ企画さんにやってもらえるというワクワクもあって、“はじめまして”の時から「イエーイ!」みたいな(笑)。私にとっては珍しいんですよ、本当に。
山口監督もウエルカム状態でいてくれたから、私もそういうテンションでいきやすかったんだと思います。脚本を見たらいろんなことをするのは分かってたので、そういう点では朝一番から仲良くなって、気持ち良く1日を乗り切りたいなっていう気持ちになれました。
最初から楽しくて、途中にメンバーとの撮影が挟まって、そこでちょっといつもの自分に戻れたりして。本当にずっと楽しかったです。「寂しいな」とか「終わっちゃうな」とか、そういうマイナスな気持ちは一切なくて、楽しくてずーっとハイテンションでした。
――石田さんと山口さんから見た、役者としての大場さんの良いところはどんなところだと思いましたか?
石田:実は台本にはセリフをあまり書いてなくて、ト書きとある程度のセリフだけ書いて、「あとはお任せで」みたいな部分もあったんですけど、そのシーンを見てすごく勘の良い人なんだろうなって思いました。
本当に達者ですし、コメディーとかコントとかにも出ていらっしゃったので、そういう勘の良さを持ってるんだろうなって。
山口:当たり前なんですけど、これ全部お芝居なんですよ。ドキュメンタリーのように見せてますけど。そのお芝居でめちゃくちゃ変な顔とかも出せたりして、アイドルから女優になられるんだなっていうのをファーストシーンから感じて、すごいなって思いましたね。
ラストシーンは言わずもがなですけど、最初のドキュメンタリー場面はすごいです。演技というのを忘れてしまうくらいナチュラルですから。本当に高度なことをやってらっしゃるなって思いましたね。
――MVを制作するに当たって、大場さんのエピソードについてSKE48メンバーにアンケートをしたようですが、印象に残っている回答はありますか?
石田:「曲振りを間違えた」ってエピソードがすごく多かったですね。
大場:そう! それで石田さんに確認したかったんですけど、MVの最後に私がこの卒業ソングのタイトルを言って、周りのメンバーに「そんな曲ないよ」みたいに言われてるじゃないですか。これってその曲振りを間違えた事件を基にしてるってことですか?
石田:そういうことです。
大場:これめっちゃメンバーに聞かせたい! YouTubeで公開する前に、劇場でファンの方とメンバーと鑑賞イベントをしたんですけど、あのシーンは私がSKE48の兼任メンバーとして、初めてSKE48劇場でファンの方たちにあいさつをしに来た場面だから、そっちを意識してて、曲振り間違いにつながってるって発想が出なかったんですよ。
でも、あるメンバーがMVを観た後に「私、その“曲振り”のこと書いたんだけど、もしかして最後のあれがそれ?」って言って、みんな「え!?」みたいな。そういう感じが随所に入ってるから、たくさん考察できるってみんな言っていました(笑)。
石田:分かりやすいところは分かりやすくしてるんですけど、あそこはラストだし、分かる人は分かるというか、確かに「感じ取れればいいかな」くらいの感じですね。
MVでステージに立っているメンバーはまだこの曲を知らない(※当時は2013年)っていう世界線だから、大場さんが曲名を間違えるのが“曲振り”のエピソードとうまくハマっていいなって思って。あと、「寝顔がかわいい」ってアンケートも多かった。
山口:寝顔よかったですね(笑)。
石田:「よく寝てる」とか(笑)。だからそういう写真も入れたいなって、本当はもっといろんなエピソードを入れたかったんですけど、入り切らなくて諦めたものもありましたね。
大場:でも、過去一番だと思いますよ。こんなにメンバーが絶賛したMVは。(鑑賞イベントでは)7人のメンバーと一緒に観たんですけど、7人全員が口をそろえて終わった瞬間に「マジでいい!」って、最後のMVがこの作品で「うらやましい」って言われました。
全員泣いてたし、「本当にすごくいいMVだった」って、一緒に活動していたメンバーがそう言ってくれるのが本当にうれしかったです。
石田:これは本当にうれしいですね。
大場:お二人とも本当にありがとうございました!
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