第2次世界大戦末期の上海を舞台に、人種やイデオロギーの壁を乗り越えてコンサートを開催しようとした若き作曲家たちの葛藤と夢を描く音楽劇「夜来香(イエライシャン)ラプソディ」。「蘇州夜曲」などヒット曲を世に送り出し服部良一(松下洸平)に音楽を学び、自らもまた大ヒット曲「夜来香」を生み出した黎錦光(れいきんこう)に白洲迅が扮(ふん)する。
――まずは今回の役作りについて教えてください。
黎は実在の人物ですが、日本で彼を知っている方はあまりいらっしゃらないと思うんですよ。そのパブリックイメージがないことを逆手に、「夜来香」のイメージから想像を膨らませて演じられたらと思います。ただ、黎の印象は演じているうちにどんどん変わってきていて…。
最初は服部さんがすごく純粋で、嫌なものは嫌と素直に表現する方なので、黎はちょっと控えめな印象だったんですよ。「夜来香」のイメージ的にもどこか繊細さがあるんじゃないかなっていう気がして。でも、稽古を進めるとその熱量だと気持ちが通らないところが出てきたんです。今はアツいものを抑えるのではなく、もう少し内に秘めた感情を出してみようと試行錯誤しています。
――白洲さんは4年ぶりの舞台となりますが、映画やテレビとの違いはどこだと思いますか?
洸平くんとも話しているのですが、これという明確な違いはないんですよ。ただ自分の中で感じるのは、舞台の方が役の心情や、どの言葉に感情が動かされたかなど細かく伝えないといけない部分が多いような気がします。映像だとカメラが寄ったり引いたりして、カメラがお芝居をしてくれるんですよ。それが舞台にはない。
だからこそ、より役を掘り下げて表現しなければいけない気がします。とはいえ、カメラが助けてくれているだけなので、映像でも役を掘り下げるべきなんですけど。そういうことを含めて芝居についていろいろ考えさせられました。
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