高橋一生、川端康成「雪国」のドラマ化で主演!芸者に恋をする文筆家を演じる<インタビュー>

脚本になっても変わらず美しい言葉と余白が存在している作品だなと


――台本を読んだ感想を教えてください。

昔からすてきな作品だと思っていて、脚本になっても変わらず美しい言葉と余白が存在している作品だなと感じました。このような作品は近年あまりないので、見る方には自由に感じていただけたらなと思いながら、台本を読ませていただきました。

――台本になったことによって生まれた魅力はありますか?

人間が演じるということと言葉で表現することは決定的に違うと思っています。言葉の力は絶対的にあるのですが、肉体があるからこそできる表現があると思うんです。今回のドラマ化にあたり、語りたかったところのフォーカスはしっかりと絞られているなと感じました。

――初めて「雪国」を読んだのはいつですか?

二十歳くらいの時だと思います。小説というよりも、詩集を読んでいるような感覚でした。この作品に入る前にもう一度読み返したのですが、ある程度年齢を重ねていくことにも意味はあるのだなと思いました。新しい発見があったというよりも、島村の思いはどこにあったのかということが読み取れたと思いますし、心を取り戻したいんだなという感覚は、初めて読んだ時よりもビビットに感じられました。

――川端康成の代表作をドラマ化するプレッシャーや、役作りで意識したことはありますか?

演出の渡辺一貴さんと人物デザイン監修の柘植伊佐夫さんは以前もお仕事をさせていただいている方々なので、安心してお芝居ができました。プレッシャーは、そんなに感じることはなかったです。

作品の世界観に関しては、雪国に暮らす人間たちと、そこに入っていく島村の“人間的な接触”のようなものが、とても情感豊かに描かれています。答えを限定せず、観ていただいた皆さんが、感じ取った通りでいいのではないかなと思っています。

集中力を切らさず、的確にお芝居をされている印象です


――共演者の奈緒さんの印象を教えてください。

同じシーンを繰り返し何度も撮ることが多い中、集中力を切らさず、的確にお芝居をされている印象です。それは決して機械的というわけではなく、感情がしっかりと入り込んでいて、それを何度も同じように再現できるのは怖さすら感じました。

――島村を演じる上で参考にしたものはありますか?

島村は、自分の人生に対して“生きる”ということをどのように定義していいのかわからなくなってしまっていると僕は捉えています。どこかで自分が生きていくことを諦めてしまっている、生への希薄さみたいなものを感じていて、その中で雪国に住む人々と出会うことで、熱情を取り戻せるのではないかと思っているように感じました。