――原作のアニメーション映画の印象はいかがでしたか?
オリジナル作品の創作体制強化のために2018年に新設した企画開発室から、「細田守監督の代表作を候補のひとつとして検討したい」ということで上がってきたのが、「バケモノの子」だったんです。これまで、「時をかける少女」や「未来のミライ」は見たことがあったのですが、この作品は未見でした。それですぐ映画を見たのですが、非常にスケールが大きく、さすがに細田監督の代表作と呼ばれているだけの事はあると感じたのを覚えています。
――その映画をミュージカルにしようと思ったのはどんな理由からですか?
この映画が我々の作品になり得ると思ったひとつめの理由は、まず、親子の話だということです。バケモノと人間という、種族の違う2人の間に生まれた、親子のような愛情の交流が見事に描かれているなと思いました。親子の愛情、人間の成長というテーマはミュージカルに向いているのです。2つめは、渋谷という日本人なら誰もが知っている都会のすぐ裏側に異界があるという構造。日常の中に未知なるものが存在している感覚は、古い民話や伝承にもよく見られますし、とても日本人的な感覚で、日本のお客様が理解しやすいのではないかなと思いました。そして3つめは、細田監督、そして日本有数のアニメーション制作会社である、スタジオ地図さんの代表作だということです。細田作品を愛好する方たちが、我々の新しいお客様になり得ると思いましたし、劇団四季とスタジオ地図のコラボレーションで生まれるシナジーもあるだろうなと。それで、企画開発室にゴーサインを出しました。
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