――アニメーションが原作のものに抵抗感はなかったのですか?
全くありませんでした。そもそも、我々が手がけている「ライオンキング」や「アラジン」、「アナと雪の女王」といったディズニーミュージカルも、アニメーション映画が元になっているものがほとんどですから。ただ、海外産のコンテンツを受け入れるには、日本人特有の情感に配慮した作り方をしなければならず、どの作品でも工夫が必要でした。「バケモノの子」は、細田監督という日本人が作った日本的な作品なので、感覚的にも受け入れやすいですし、異文化を乗り越えるような作業は必要なかったですね。それよりも、細田監督のアニメーション映画の世界観を、歌があり踊りがあり、台詞があるミュージカルの「文法」の中に落とし込む作業が大変だったと思います。でも、こうした仕事は、脚本と歌詞を書いてくださった高橋知伽江さんが劇団四季時代から手掛けてこられ、豊富な経験をお持ちなので、安心してお任せしました。
――ミュージカル化に当たり何か制約はありましたか?
ほとんどないですね。現場での細かいやり取りはありましたが、基本的には任せていただきました。アニメーションと生身の人間が演じるミュージカルは文法が違う世界で、それぞれ得意分野があります。任せていただいたほうが、逆に原作の良さを引き出せるのではないかと思いましたし、スタジオ地図の皆さんも信頼してくださっていたので、それを裏切らないような作品を作らなければと思いました。
――細田監督が稽古場を見学された時の様子は?
演出の青木豪さんをはじめ、その日はみんなソワソワしていましたが、細田監督は、ご自身の世界観がしっかり再現されていることに満足してくださったようで、最初の関門は突破したという思いでした。それに、映画でもこの手法を使えばよかったと思われた部分がいくつかあったとお聞きして、それも嬉しかったですね。
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