――第25回では頼家も妻と子がいながら別の女性を妻にしようとするシーンがありました。
女好きは思いきり継いでいますよね。それを「女好きは我が嫡男の証だ」「頼もしいぞ」とか言って、おかしなシーンだなと思いました(笑)。(第21回の)頼朝が、本当に幸せそうな八重(新垣結衣)に向かって昔の話をするシーンで、こんなところまで(器の)小ささを表現するのかと、なぜ三谷さんはここまで頼朝をダメに描くんだろうと思いました。
――頼朝が死に向かっていく部分の台本を見た感想を教えてください。
権力の頂点に上り詰めた人がどんどんダメになっていく。巻狩りの最後でも口にしていましたが、どこか天にも見放された気持ちになってきて、たくさんの人を排除してきた男が、その亡霊に苦しめられていくというのが面白いなと感じました。
第25回の頼朝は、精神分裂気味の人になってしまったのかなと思っています。突然、巴御前(秋元才加)の元へ行って、義仲(青木崇高)を討ったことを謝るなど、死ぬ直前に今まで自分がやって来たことを謝りたくなるような気持ちでした。
――これまで主要人物が亡くなると「○○ロス」とSNSが沸いてきましたが、頼朝の死はどう受け入れられると思いますか?
好きに受け取ってほしいです(笑)。頼朝が倒す相手はものすごくいい人に描かれているから、それは頼朝が悪く見えるし「ひどい殺され方してほしい」なんて言われてしまっていますし(笑)。
第25回で馬から落ちて、その後の第26回も頼朝がただ寝ているだけというのは、三谷さんらしいなと思いましたし、非常に面白いなと感じました。寝ている頼朝の周りでどんどん物事が動いていく、まさに劇作家・三谷幸喜の真骨頂だと思います。
頼朝の最期は、政子(小池栄子)と2人で迎えましたけど、演出の保坂慶太さんが非常によく撮ってくれて美しいカットになりました。小池栄子さんの熱演も素晴らしくて、とても印象に残っています。このようなドラマ、そしてこのような役に巡り会えて幸せだなと感じましたし、源頼朝役をいただけて三谷さんには感謝しかないです。
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