仲野太賀、同年代の俳優の活躍に刺激「いい意味での悔しさとうれしさがあるんです」

「拾われた男」第4話より (C)2022 Disney & NHK Enterprises,Inc.

自由に伸び伸びとやらせていただきました


――松戸が右往左往している姿にどんどん引き込まれていきます。

監督とも話していたんですけど、これは松尾諭さんの自伝に基づいているけど今回のドラマではちゃんと松戸諭の物語にしたいねって。物まねをしてもしょうがないし、ちゃんと見ている人が共感できるように作っていけたらいいですねっていう話をしました。だから、そういう気持ちで自由に伸び伸びとやらせていただきました。

――1話からいろいろなことが起こる展開ですけど、ストーリーの流れに全く違和感がなくスッと入っていけるところが面白いですね。

情報量がとてつもなく多いですよね。こんなに忙しい作品は今までなかったんじゃないかなと思います。撮影順もバラバラに撮っていたし、どんな作品になっていくんだろうって思っていました。

とにかく、井上さんの演出がさえわたっていて。正直、初めて見た時は自分が主役なんですけど「これは面白いぞ」と。井上さんにも「これ、面白いって言っていいんですよね」って聞いたほどで(笑)。手応えしかないし、すごく自信作ですね。

自分自身の視野が広くなったような気がしました


――井上さんの演出で印象に残っていることは?

1話の杉田(大東駿介)のシーン。こうなるだろうなって思いながら演じていたんですけど、完成した作品を見たら杉田に泣かされました。思わずホロッときましたね。

井上さんは、拾われた男を描いていくけど、拾われた人がいるってことは拾われなかった人もいると仰っていて。拾われなかった人の側面もちゃんと描くことでこのドラマはいい方向に行くと。まさにその通りだなと思いました。

2話で松戸諭が初めて映画に出演した時に自分のシーンは使われていたけど、先輩の林(水澤紳吾)さんはワンカットも映っていなかったエピソードもそうですよね。松戸は拾われたけど、林さんみたいに拾われなかった人もいる。こうやってドラマって何層も何層も重ねて作れるんだなと。自分自身の視野が広くなったような気がしました。

井上さんとはいつかがっつりお仕事したいと思っていたので、完成した作品を見た時にそっとこぶしを握って小さくガッツポーズをしました。

――ビジュアル面で工夫した点はありましたか?

体をちょっと大きくしました。衣装に関してもとても信頼を置いているスタイリストの伊賀大介さんと、90年代だったらこういう感じの服がいいんじゃないかと話しながらいろいろ考えました。

あとは、メガネがキーポイント。今後、あるタイミングでメガネがなくなります。それも井上さんと話し合いながら決めていきました。

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