伊藤沙莉、“小さな幸せ”は食後の家族団らんの時間「私は家族が生きがいなんです」

仲野太賀と伊藤沙莉にインタビューを行った (C)2022 Disney & NHK Enterprises, Inc.

俳優志望の男・松戸諭(仲野太賀)が、他人に“拾われ”続けることで夢も恋もつかんでいくさまを描く「拾われた男」(毎週日曜夜10:00-10:45、NHK BSプレミアム)。同作は俳優・松尾諭が自らの波乱万丈なサクセスストーリーを書いた同名エッセーを映像化したヒューマンドラマで、主人公・諭を仲野、諭の兄・武志役を草なぎ剛、諭の運命の女性である結役を伊藤沙莉が務める他、薬師丸ひろ子、鈴木杏、北村有起哉、要潤、夏帆や、本人役で井川遥、柄本明らが出演している。

ウォルト・ディズニー・ジャパンとNHKエンタープライズの共同制作で、ディズニープラス向けのコンテンツとして日本国内の制作会社との初の共同制作作品。NHK BSプレミアムでの放送の他、ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」で見放題独占配信(毎週日曜夜11時配信)される。

WEBザテレビジョンでは、諭役の仲野と後に妻となる諭にとっての運命の女性・比嘉結を演じる伊藤にインタビューを実施。役への思いやそれぞれの“運命的な出会い”だった作品について、そしてテレビや映画に引っ張りだこの2人が感じる“小さな幸せ”についても語ってもらった。

仲野「『何で僕なんだろう』って」


――現役の俳優である松尾さんをモチーフにしたキャラクターを演じるということで、プレッシャーはありましたか?

仲野:正直、これまで松尾さんとはほぼ面識がなかったので、「何で僕なんだろう」って思っていたんです。でも、そこまでプレッシャーを感じることはなかったです。台本通りやれば面白くなるのかなと思いました。

――伊藤さんは松尾さんから思わせぶりなことを言われていたそうですね。

伊藤:そうなんです。本を書いているという話は聞いていて、リモート飲みをした時に「これやねん」と本を見せてくださって。それで「やらせたい役があんねん」と仰っていて。その後、本を頂いて読んだんですけど「あぁ、私は奥さん役だな」って思ったんです。

――それは自分でもぴったりだと? 

伊藤:でも、松尾さんからは「寒いよ…」と凍えている少女の役をやってほしいと言われたんです。

仲野:そこにズレがあったんだ(笑)。

伊藤:そうなんです。でも、実際にオファーを頂いたのは奥さん役でした。そもそも、松尾さんは人を楽しませることが好きな方ですし、ご自身も面白い方。そういう人の陰のような部分を見るとますます愛おしくなったりするじゃないですか。そんな先輩の物語に携われるのが何よりもうれしいなって思いました。

仲野:本を読んだ時に俳優としての苦しみや悔しさとか、そういう部分が非常に共感できたし、なおかつ松尾さんのことをちゃんと知ることができて何か愛さずにはいられないような人なんだなという印象を持って。こんなにキャラクターとして魅力的だったら絶対に面白いなと。それもあってやりたいと思いました。

伊藤「奥さんはとにかく松尾さんのことが大好きなんだな」


――役作りで松尾さんから話を聞いたり、ご家族に会ったりしましたか?

仲野:松尾さんとクランクインの前に一度食事に行ったぐらいで、あまりお話ししませんでした。本当はもっとお話ししたかったんですけど、なかなか時間が取れなくて。食事に行ったその一夜を通して自分なりに解釈しつつ、松尾さんから言われた「自由にやっていい」という言葉を信じて自由にやらせていただきました。

伊藤:私はクランクインしてから、まだそんなに深いシーンを撮る前に松尾さんのお宅にお邪魔しました。松尾さんの奥さんはすごくかわいらしくてさっぱりした方。「あぁ、こういう感じなんだ」と思いつつ、原作も含め脚本でもちゃんと人物像が描かれているので少し参考にさせていただきました。

奥さんを見ていてとにかく松尾さんのことが大好きなんだなということがすごく伝わってきたんです。2人の関係性がとても素敵で、夫婦なんだけど、どこか恋人みたいなところもあったりして。奥さんの話で印象に残っているのは松尾さんが本を書いてくれたことが自分にとってギフトだし、とても幸せなことだと。正直なところそこで完結しているからこの後どんなふうに派生してドラマが出来上がったとしても楽しめると仰っていたんです。

泣きのシーンが多かったりしてちょっと不安な部分もあったんですけど、奥さんから「沙莉ちゃんの思うままにやって、自由に楽しんでください」と言われて。その言葉を聞いてとても安心して臨むことができました。