草なぎ剛、“弟役”仲野太賀の影響でフィルムカメラを購入「すっかりハマってしまいました(笑)」

「拾われた男」で兄弟役を務める仲野太賀、草なぎ剛(写真左から) 撮影:永田正雄

俳優志望の男・松戸諭(仲野太賀)が、他人に“拾われ”続けることで夢も恋もつかんでいくさまを描く「拾われた男」(毎週日曜夜10:00-10:45、NHK BSプレミアム)。同作は俳優・松尾諭が自らの波乱万丈なサクセスストーリーを書いた同名エッセーを映像化したヒューマンドラマで、主人公・松戸諭を仲野、諭の兄・武志役を草なぎ剛、諭の運命の女性である結役を伊藤沙莉が務める他、薬師丸ひろ子、鈴木杏、北村有起哉、要潤、夏帆や、本人役で井川遥、柄本明らが出演している。

ウォルト・ディズニー・ジャパンとNHKエンタープライズの共同制作で、ディズニープラス向けのコンテンツとして日本国内の制作会社との初の共同制作作品。NHK BSプレミアムでの放送の他、ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」で見放題独占配信(毎週日曜夜11時配信)される。

WEBザテレビジョンでは仲野と草なぎにインタビューを実施。演じる上で意識した点や初共演の感想、アメリカロケでの思い出などを語ってもらった。また、取材部屋に入ってくるなり「太賀くんやせたね~!ビックリしたよ~」「はい!戻しました!」と笑顔で談笑を交わすなど、本当の“兄弟”のように仲が良い2人が、お互いに影響を受けたエピソードを披露した。

仲野「入口と出口が全然違う」


――脚本を読んでどんなことを感じましたか?

仲野:とても面白かったです。松尾さんがこんな人生を歩まれていたんだということに驚きました。最初は1人の俳優の出会いと別れを描いたサクセスストーリーのようにも見えるけど、どんどん家族や恋人、そして兄弟のヒューマンドラマに変わっていく。入口と出口が全然違うというか、思いもよらない方向に展開していく様が面白くて、ぜひやってみたいと思いました。 

草なぎ:今の太賀くんの話、そのまま僕のコメントにしてください。何も言うことがないぐらい全部言われちゃったんで(笑)。

仲野:すみません(笑)。

草なぎ:松尾くんとは、以前、他の作品で一緒だったんです。原作も読んでいて面白いなと思ったし、しかも今回は彼のお兄ちゃんの役。何か松尾くんとは縁があるなって。コロナ禍ではあるけどアメリカにも行けるのかな、何か発見することがあるかなって、すごくドキドキワクワクしたのですぐにやりたいと思いました。

「拾われた男」第5話より (C)2022 Disney & NHK Enterprises,Inc.

――演じる際に意識していたことはありますか?

仲野:あまり松尾さんに寄せていこうという意識はなかったです。松尾さんの実話がベースになっている作品ですけど、劇中に登場する「松戸諭」の人生を全うしようと思っていたので。ただ、頭の片隅で松尾さんの顔がちらついたり、松尾さんだったらこんな動きをするかもしれないと思うことがどこかにあって、それを全部やるわけじゃないんですけどすごくヒントをもらいながら演じていたような気がします。

とにかくキャラクター自体に厚みがあるんです。いろんな側面を見せていきたいと思ったので人間味や旨味を出せたらいいなと思いました。

草なぎ:もう、そのままです。太賀くんが全部説明してくれました(笑)。

仲野:全然違う役じゃないですか(笑)。

草なぎ:ホントに、厚みを出していきたいなって。

仲野:それ、僕が言ったやつです(笑)。

草なぎ:まぁ、太賀くんも言っていた通り寄せていかなくてもいいんじゃないかなって。松尾くん自身も好きにやってくれみたいな感じで言ってくれたので、どこかで意識をしながらもオリジナルで何かを生み出せたらいいなと思いながら演じていました。武志はちょっとつかみどころがないキャラクター。小さい時から弟の諭はお兄ちゃんに届かないというか、何かノホホンとしている感じで演じていました。

草なぎ「どんどんすごいテーマになっていくんですよ」

「拾われた男」第7話より (C)2022 Disney & NHK Enterprises,Inc.


――「松戸兄弟」の関係についてはどんなふうに感じましたか?

仲野:弟の目線から言うと、全10話をかけてお兄ちゃんとの距離が少しずつ変わっていく話でもあるんです。最初の頃は肉親だからどうしようもないけど好きになれないし、肉親だからこその気持ち悪い距離感のようなものがあって。でも、何だか体温があるような距離感なんです。僕も次男なので、そういう兄に対するコンプレックスではないですけど、同じ家族で同じ場所で生まれ育ったのに何でこんなに違うんだろうという思いがあって。そのざらつきのようなものがベースとしてあるのかなと感じました。

物語が進むにつれ、弟からは見えなかった兄がこれまで過ごしてきた姿に触れて改めて兄弟というものを捉え直す。そんな2人の関係は見ている人にも伝わるものがあるんじゃないかなと思います。

草なぎ:その場、その場で感じたまま演じていたんですけど、アメリカに行くとその雰囲気にいい形で飲まれるというか。何か思ったよりも武志がいいヤツになっているんじゃないかなって。海外の方たちもすごく温かくて、台本で読んでいる時よりもすごくヒューマンな感じになっちゃって大丈夫なのかなって思いました。

最初は売れない俳優がすったもんだしていたのに最後はアメリカに来て、国境や人種を超えて家族の大切さとか、みんなが穏やかに生きられる世界をとか、どんどんすごいテーマになっていくんですよ。そこがめちゃくちゃ面白いなって。アメリカに行って僕もそうだし井上(剛)監督も飲まれちゃったような気がするけど(笑)、どういう作品になっているのかすごく楽しみです。