林遣都“鈴之介”の過去が判明して視聴者の“愛おしい”作品に昇華<初恋の悪魔>

2022/08/15 11:31 配信

ドラマ レビュー

鈴之介に老女が心を救われる『あなたに助けられました』

「初恋の悪魔」第5話より(C)NTV

森園から監禁される鈴之介を救ったのは、連絡の取れないことを不審に思った悠日、星砂、小鳥の3人。ここから、家に残されたメモ書きから鈴之介も知らない事実が次々と明らかになっていく。静枝は中学校の外壁崩壊により娘と孫を亡くしていた。その恨みで市役所の男性を自宅の地下に監禁していたこと。その計画に失敗し、次なるターゲットとして鈴之介の監禁を試みたが、交流をするうちに心のわだかまりが消えて復しゅうする気持ちが消えていき、鈴之介に自分も救われたということがメモに書かれていた。『あなたに助けられました。ありがとう鈴之介くん』という文字に号泣する鈴之介だった。

監禁騒ぎから救ってくれた3人に、鈴之介は「今日はありがとう」と言葉を残した。いつになく素直な鈴之介に驚いた小鳥は「カラオケ行こうか」と誘う。

「CHE.R.RY」を歌う小鳥からサビを奪って歌う鈴之介は「このサビをスルーできる人間はこの世に存在しない」と断言。第2話で、4人が盛大に粉をこぼしながら大福を食べていたシーンに次ぐ微笑ましい友情の名シーンとなった。

人間らしさや友情が愛おしくなる作品

「初恋の悪魔」第5話より(C)NTV

この作品はまったくもって、よくある“推理ドラマ”ではない。これに気付いた視聴者が見続けてきた第5話には、様々な感情を抱いたことであろう。SNSに上がった感想を集めてみるとよく分かるのは、「愛おしい」という声の多さ。脚本担当の坂元は、人間の孤独感や虚しさ、他人とは共感できそうにないけれど誰もが胸に留めているような小さな思いを壮大な物語に展開して描くのが本当に巧みであり、その魅力にとりつかれているファンも多い。

第1話で悠日の「負けてる人生って誰かを勝たせてあげてる人生です、最高じゃないですか」というセリフがあったが、ある出来事を反対側から見ることで別物になることを教えてくれるようなドラマである。まだまだ謎に包まれた本筋が残っているだけに、見続ける必要がありそうだ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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