──北海道でローカルタレントをしていた頃に芽生えた、「知られたい」という気持ちの源泉をもう少し詳しく教えてもらえますか。
反抗期というか、思春期特有というか(笑)。当時、家族やまわりの人たちからは、「こういうこつこつした仕事をして北海道で有名になってから東京行ったほうがいいよ」と言われてたんですけど、わたしは名前の出るお仕事で全国的に有名になるのが夢だったんです。「ホタテおいしいです!」「イカおいしいです!」ではなく(笑)。もちろん素敵な仕事だし、すごくおいしかったんですけど、当時中3とか高1だったので、「ホタテじゃないんだよなあ」と思っていて(笑)。まわりから何かを言われるたびに、どんどん「東京行きたい」「夜道雪っていう名前を売りたい」という感じで反抗して、高校を辞めて東京に来ました。あと、同級生の女の子が有名なアイドルグループに入って、すごく人気になったんですよ。それが悔しくて、嫉妬心や憧れもあり、「絶対東京行かなきゃ!」って思うようになりました。
──嫉妬心が原動力になっていると自ら言う人って、珍しいと思いますよ(笑)。
嫉妬心あります(笑)。ただ二面性というか、根っこの部分では自信がないんです。わたしが夜道雪として頑張るためには、何かを強く思わないといけなくて。自分をこう、大きくしていかないと、打たれ弱くてへこたれちゃう時があるので。そういう意味では、自信がないけど自信あるように自分を見せている部分があると思ってます。たとえばわたしはバイクに乗るのが好きなんですけど、それも実はそういう意味があるのかなって思います。ひとりで歩いていると自信がないけど、素敵だなと思ったバイクに跨がってる自分は最高にカッコいいと思えるんです。
──バイクもそうだし、役者業だったらキャラクター、自身の音楽活動だったら曲があって、力になってくれる、ということですね。
はい。自分自身の個性として、ネガティブ思考や自信がないところは変えられないし、諦めてるというより認めてる部分です。それもわたしだし、っていう。そういう自分がいるからこそ、強気な自分で、なんとかそれをひねり潰そうとしているんです。それが見せかけというか、建前だったとしてもわたしの一部なので、何かと一緒に進んでいく、相棒が一緒にいて勇気をもらえる、元気をもらえるのはわたしならではだし、いいことだと思ってます。
──その点で言うと、音楽を聴いてくれる人や自分の活動を見て楽しんでくれる人の存在は、ことさら夜道さんにとって大事な存在なんじゃないですか。
もちろんです。陰ながら応援してくれてた北海道の頃からのファンの方や、何年も前から見てくださってる方々は、わたしの支えになってくれてると思いますし、一心同体的な感じで今まで頑張ってこられたのかな、と思ってます。
──だからなのか、今回のアルバムに入っている“どうする?”や“Sweet escape”は、「届けたい」という情熱がすごく感じられる曲たちですよね。夜道さんが二人称の歌詞を歌うと、なんとなく圧を感じるというか(笑)。
あはは、嬉しいです。“どうする?”は、歌詞から読み取れる情景がすごく強くて。それを自然と頭に浮かべながら歌うと――隣に好きな男の子か誰かがいる、迎えに来てもらってるとか、そういうイメージが頭の中で湧きました。自分は実際にはそういう人間じゃないんですけど(笑)、そういう人間になったつもりで歌うことを頑張りました。
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