柄本佑といえば、言うまでもなく日本屈指の芸能一家の生まれだ。父は劇団東京乾電池の看板俳優で名脇役の柄本明、母も同劇団の女優の故・角替和枝。弟の柄本時生も俳優の道に進んだ。さらに、佑は'12年に女優の安藤サクラと結婚。彼女は映画監督で俳優の奥田瑛二とタレントの安藤和津を両親に持ち、妹の安藤桃子も映画監督という家族。
もはやこの家族だけで映画ができてしまう家系だ。弟の時生とは演劇ユニット「ET×2」を2008年から結成。その昇華のひとつとなったのが'17年に父・柄本明を演出に迎え上演した「ゴドーを待ちながら」だ。その一方で父とは「普通の話ができない」と俳優一家ならではの悩みもあったという。だから、佑に直接的な“教育”をし、強く影響を与えたのは母・和枝だった。彼女はマンガ好きで、自宅の階段の踊り場には、埋め込み式のマンガ専用本棚が作られていた。そこにガロ系から少女マンガまで並んでいた。和枝は佑に大友克洋を薦め、佑の愛読書となった。
また、彼女は無類のゲーム好きでもあった。「クラッシュ・バンディクー」というアクションゲームをやりすぎて手の骨を疲労骨折するほど。しかも、包帯を巻きながらなおもやり続けたという。そんな彼女は子供たちに「あんたは、マリオやゼルダから何を学んだんだ!」「諦めない心だろ!」などと叱っていたそう(「A–Studio」2015年4月24日TBS系)。