東山奈央、“魔王さま”は「代名詞として挙げていただけるような代表作」

「はたらく魔王さま!!」に声優として出演中の東山奈央にインタビューを実施した  撮影:永田正雄

和ヶ原聡司のライトノベル作品「はたらく魔王さま!」のテレビアニメ第2弾「はたらく魔王さま!!」が、9年ぶりに地上波放送中。主人公・魔王サタン/真奥貞夫を演じる逢坂良太ら主要キャストが第1期から継続ということもあり、演じる声優陣もキャラクターも息ぴったりだ。今回のインタビューでは主要キャラ中、唯一の人間である高校生・ちーちゃんこと佐々木千穂を演じる東山奈央が登場。本作へかける思い、共演者との関係性、ちーちゃんの真奥に寄せる恋心の変化などについて、楽しくも鋭い答えが返ってきた。

“ちーちゃん”は変わった?


同アニメの原作は、シリーズ累計発行部数350万部を突破したファンタジー作品。第1期は2013年4月から6月にかけて放送され、第2期は地上波での放送(毎週木曜夜11:30-深夜0:00ほか、TOKYO MXほか)の他、動画配信サービス・ディズニープラスでは地上波同時、見放題独占配信中だ。

――「ちーちゃんは変わった」第2期を見て、そう思った視聴者も多いのではないでしょうか。とても器が大きくなったというか。

第2期のちーちゃんはアラス・ラムス(CV:木野日菜)の登場によって、子守りをすることが増えました。ちーちゃんは親戚の子どもの世話をしたことがあるので、結構そういうのがすぐできる。おむつ替えやミルクのことも、魔王(サタン/真奥貞夫◆CV:逢坂)や勇者(エミリア/遊佐恵美◆CV:日笠陽子)よりもスマートな立ち居振る舞いができるんです。高校生にしては結構大人びた一面を見せるなあという感じですね。

「はたらく魔王さま!!」より (C)2021 和ヶ原聡司/KADOKAWA/MAOUSAMA Project

――相手のことで頭がいっぱいで一方的に好きだ好きだというだけが好意の表現ではないと気付いて、新しい章に入ったような感じです。

真奥さんに対してもいっぱい告白してるんですけど、その告白をずっと保留されている状態。待つ女という感じになってもいる。もちろん真奥さんに対して気が気じゃないところもあると思うんですけど…真奥さんがちーちゃんに「その胸を借りていいだろうか」というシーンがあるんですね。

アラス・ラムスのママ役は勇者エミリアだし、真奥さんからは告白の返事を保留されているし、やっぱり私はかわいい後輩にしか思われてないんじゃないかなって思っていたところに、そう言われて、真奥さんにとって自分は揺るがない存在なんだというのを知ることができた。それによって、ちょっとどっしり構えていられるようになったちーちゃんがいる。

第2期の方が精神年齢が高くなっている。物語上での時間はそんなに変わらないけれど、今の私だからこそ演じられる部分もあるかも。今しかできないお芝居をやろうとは思っています。

年に一度は“同窓会”も


――およそ9年ぶりに第2期が始まるという例は、アニメに限らずなかなかないように思います。シリーズ再開の知らせを受けたときの気持ちは?

まさか第2期が始まるとは思っていませんでした。第1期が放送されていたときは、作品ファンの皆さんから好評の声が届いていたので、(第2期を)期待していたときもありましたが、時期がたっていくうちに、やっぱり難しいのかなと思うようになって。でもメンバー(声優たち)はすごく仲が良くて、年に一回は同窓会を開いたりとか、オンラインの飲み会などで交流が続いているんです。

「はたらく魔王さま!」はすごく居心地の良い場所なので、月日がたってもそうした絆があります。集まるたびに「また何かやりたいね」とは言ってたんですけど、(第2期の知らせは)何か雷に打たれたような気持ちでした。本当にそんなことってあるんですか?という感じですね。

――出演者にも視聴者にも、同じように「はたらく魔王さま!」は愛されてきました。

第2期開始の発表をさせていただいた時も、Twitterとかネットがすごいお祭り状態になっていて。いろんなアニメがある中で、「はたらく魔王さま!」をずっと忘れないでいてくれて、熱が冷めずに、大切な思い出として、ずっとみんなの心の中にあったのがすごくうれしかったですね。

身近なスタッフさんからも驚きの声が上がっていて、「毎日仕事忙しいけど、『魔王さま』は絶対見るよ」と言ってくださったりとか。業界の方からもすごく愛されている作品だなと思いましたね。