阿部寛、SNSには“苦手意識”も「何か約束事ができてしまうような場は作りたくない」

「すべて忘れてしまうから」より(C) Moegara, FUSOSHA 2020

SNSとの向き合い方


――第3話ではTwitterにまつわるエピソードが登場しますが、阿部さんはSNSとどんな距離感で向き合っていますか?

苦手意識はありますね。自分の仕事に対する反応がすぐ分かる便利さもありますけど、あまり約束事ができるのは嫌だなと。

役者としていつでも身を軽く、どんな役でもたとえ批判されるような役でもやっていきたいですから、何か約束事ができてしまうような場は作りたくないなと昔から思っています。

――“M”の行きつけである「Bar 灯台」のオーナー・カオルを演じるCharaさんとは初共演ですよね?

そうです。Charaさんはあの独特な口調で、今回はモノローグでストーリーをナビゲートして行くような役。芝居の間やリズム、波長が普通の役者さんと違うところが魅力的で、僕も含めて周りの役者さんたちもCharaさんと共演できていい刺激を受けたと思います。

――「Bar 灯台」で働く元バンドマンの料理人・フクオを演じる宮藤官九郎さんとは映画「大帝の剣」以来の共演。

あの作品の後に、歌謡バラエティショー「あべ一座 旗揚げ公演 あべ上がりの夜空に」という舞台に1日だけ出させていただきましたけど、映像作品では15年ぶりぐらいですね。あの頃と全然変わらないし、この15年の間にいろんな作品を手掛けてこられて“大先生クラス”になっているんですけど、現場では誰よりも素直に監督の指示を聞いて芝居をする。改めて素晴らしい方だなと思いましたし、久しぶりにご一緒できて楽しかったです。

とてもぜいたくな時間でした


――現場の雰囲気はいかがでしたか?

すごくよかったです。ある程度年齢の高い人たちがああでもないこうでもないって言っているところに若い人たちがスッと刺さるように入って来る。それがきっかけでいろいろ動いていくわけですけど、その入り方が絶妙で面白い。

Bar 灯台のセットもこんなにリアルに作るのかって思うぐらい細部にわたってよく出来ていたし、劇中に出てくる料理もおいしかった。演出もセッティングもゆっくり時間をかけながら1シーン、1シーン撮っていったのでこだわりの作品を作っているんだなと。そこに参加できるのは幸せなことですし、とてもぜいたくな時間でした。