仕事が終われば現実が待っていて、いつぶつけたかわからないアザがあるし、疲労が半端ない。
しかし帰る。
怪獣が待っている。
間違えた、最愛の娘が待っている。
急げ急げ。玄関を開けるときには、ご機嫌でいこうと顔と息を整える。
「ただいまー」
「ただいまー」
白いスニーカーがあるから帰ってるはずの娘。リビングに入ると寝転がりながら携帯をさわっている。
「ただいま!」
「ママ、遅い、おなか、すいた」
「おかえりは?」
「おなか、すいた」
「おかえりは?おかえりを言ったら、やります」
「おなか、すいた、おかえり」
我ながら何の戦いなんだ!
10分でお肉入りスープ、ほうれん草のおひたし、納豆、ごはんを準備する。
「ほら、運んでください」
「全身が痛いの、むり」
バスケ部に入った娘は全身筋肉痛らしい。
「ママも全身が痛いの」
「えっ」
「そうなの、ママも、よろしくね」
「そうなんだ、じゃあ」
「うん」
「じゃあ、おそろっちじゃん!」
「え?」
「おそろっち!ママとおそろっち!」
「は、はい」
可愛い。
そして、いそいそと、わたしはテーブルに娘の夕飯を運ぶのであった。
だめだこりゃ!
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