青木さやか、新作エッセイで思春期の娘とのおかしくも愛しい日常を描く【連載「娘とわたし」 #1】

2022/09/21 17:18 配信

芸能一般 コラム 連載

【写真】青木の娘は愛用のソファでスマホに夢中(C)青木さやか

仕事が終われば現実が待っていて、いつぶつけたかわからないアザがあるし、疲労が半端ない。

しかし帰る。

怪獣が待っている。

間違えた、最愛の娘が待っている。

急げ急げ。玄関を開けるときには、ご機嫌でいこうと顔と息を整える。

「ただいまー」
「ただいまー」

白いスニーカーがあるから帰ってるはずの娘。リビングに入ると寝転がりながら携帯をさわっている。

「ただいま!」
「ママ、遅い、おなか、すいた」
「おかえりは?」
「おなか、すいた」
「おかえりは?おかえりを言ったら、やります」
「おなか、すいた、おかえり」

我ながら何の戦いなんだ!

10分でお肉入りスープ、ほうれん草のおひたし、納豆、ごはんを準備する。

「ほら、運んでください」
「全身が痛いの、むり」

バスケ部に入った娘は全身筋肉痛らしい。

「ママも全身が痛いの」
「えっ」
「そうなの、ママも、よろしくね」
「そうなんだ、じゃあ」
「うん」
「じゃあ、おそろっちじゃん!」
「え?」
「おそろっち!ママとおそろっち!」
「は、はい」

可愛い。

そして、いそいそと、わたしはテーブルに娘の夕飯を運ぶのであった。

だめだこりゃ!

関連人物