真心ブラザーズ「社会が不安定だけど、でも、楽しく生きようよと。この『でも』が、大事だと思っています」

2022/10/26 08:00 配信

音楽 インタビュー

「サマーヌード」「拝啓、ジョン・レノン」…これまでに数々の名曲を生み出してきた真心ブラザーズ。来年、結成35年目を迎えるという。歩みを止めることを知らない2人は、18枚目となるオリジナルアルバム『TODAY』を完成させた。パワフルだが温かみを携えたYO-KINGの歌声に、桜井秀俊の巧みで滋味深いギタープレイが彩りを添えるのはもちろん、新しい音楽的な取り組みも積極的に行ったという本作。
不確かな世の中にあっても、目の前の“君”を何よりも愛おしく大切に思うと叫ぶように歌うリード曲「一触即発」をはじめ、さまざまな側面から“いま”をテーマに描き出した楽曲が並ぶ。実際に、YO-KINGが作詞作曲を手がけた楽曲は、この半年ほどの間で集中的に書かれたものだという。いまを生きる多くの人に、リアルタイム感を伴って耳に響いてくるものばかりだろう。

18枚目のオリジナルアルバム『TODAY』をリリースした真心ブラザーズ   撮影=大石隼土


趣味として作っている感覚が、一環として抜けないんです


桜井「アルバムのテーマである、僕らが考える“いま”が出てきたのは、本作の制作では割と後の方だったと思います。その前に、いろいろと曲が出来てきていたんですが、いったん方向性が定まると、それに向けて新たに曲を作ったり、はじめはアルバムに入れようと思っていた曲でも『ちょっと、テーマとずれるな』と、諦めたりすることもあって。曲によってはかわいそうなものも出てきましたね」

YO-KING「俺が歌詞を書いた曲のほとんどは、半年くらいに書き上げたものです。『一触即発』と『君がすべてだったよ』もすごく近い間に書いた覚えがありますね。何しろ、毎日10分は必ず曲を作ってるからストックが2兆曲くらいあります(笑)」

桜井「2兆は盛りすぎです(笑)。それだと、1日に何百も作らないと間に合わないよ」

YO-KING「そっか(笑)。ミュージシャンの中には、『曲ができなくて…』と悩んでしまう人もいますが、多分『いい曲ができない』ということなんだと思うんです。自分に期待してしまうから、もっといいものができる、こんなもんじゃないって感じてしまうのかなと。俺なんかはクオリティーを抜きにして曲を作るだけなら、いくらでもできると思っちゃうし、その辺はいつになってもアマチュアっぽいですよね。趣味として作っている感覚が、一環として抜けないんですよ」