音楽で遊んでいるすそ野はキープしたい
1989年にメジャーデビューした真心ブラザーズ。音楽を創り、届けることが生業になってから30年以上が過ぎても曲作りが仕事というだけでなく、いまなお“趣味”として楽しめるという純粋さに驚きを禁じ得ない。
YO-KING「アルバムの制作が決まると、最初にやり始めるのが趣味としての曲作りです。商品として発表するアルバム作りに向け、心技体を持って行くために必要なことですね。それがないと、仕事としての音楽にも影響が出てしまう気がしますし、一番下の音楽で遊んでいるすそ野はキープしたいんです。生まれてくる曲たちの優劣は、俺の中ではありません。多くの人に届いて『いい曲ですね』と褒められるのも嬉しいし、俺にしかこの曲の良さは分からないなという曲ができるのも楽しいことです」
桜井「純粋に創りたいとか、好きな音を鳴らしたいとか、そういう部分はきっと作品にも自然と封じ込められていると思います。YO-KINGさんは、半年で書いたみたいですが、僕の作った『うたたね』は2018年のアルバム制作時からずっと温めてきたものです。それ以来、自信作としてみんなに聴いてもらっては落選の憂き目にあっていて(笑)。今回、制作前にみんなに聴いてもらったら、全員がこの曲の存在をきれいに忘れていて、まるで初めて聴いたみたいに『いい曲だね』って褒めてくれました(笑)。めちゃめちゃシンプルだし、地味な曲だからピンと来なくても仕方ないなという気持ちもありましたが、すごく気に入ってる曲だったので、ここでようやく形にすることができて良かったです。そこに、別の意味でのTODAY感というか、ようやく今、この時にふさわしい曲になったんだなと。僕の中では気に入っていても、なかなか理解されない曲がまだまだいっぱいあるので、これからも頑張っていこうと思います」
YO-KING「(笑)。自分で毎日作っている曲の中には、『俺以外の誰にも聴かせたくない！』と思うような、日記みたいな曲もありますよ。そういう意味では、曲を創ることは、まともに心をキープしていくためのちょっとセラピーっぽいところもあるのかもしれない。とくに『TODAY』というアルバムは、コロナ禍での制作ということもあって、そういうニュアンスは大きいかもしれませんね。社会が不安定だけど、でも、楽しく生きようよと。この『でも』が、大事だと思っています」
収録曲●一触即発／君がすべてだったよ／群衆／LOVE IS FREE／破壊／Boy／雨／ブレブレ／うたたね／白い紙飛行機
真心ブラザーズ＝（写真左から）桜井秀俊、YO-KING。1989年大学在学中、音楽サークルの先輩YO-KINGと後輩だった桜井で結成。同年9月にメジャーデビュー。YO-KINGは全員フロントマンのカーリングシトーンズのメンバーとしても精力的に活動、桜井は楽曲提供、サウンドプロデュースなど、それぞれ活躍中だ。11/３（木）からライブツアー「FRONTIER」をスタートさせる
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