阿部寛“M”と尾野真千子“F”、彼女が選んだ“幸せの形”に驚きと共感<すべて忘れてしまうから>

2022/11/10 18:12 配信

ドラマ レビュー

「すべて忘れてしまうから」第9話より(C) Moegara, FUSOSHA 2020

阿部寛が主演を務めるドラマ「すべて忘れてしまうから」の第9話が11月9日に配信された。第9話では、久々の再会を果たした“M”(阿部)の恋人・“F”(尾野真千子)が2人で旅行へ。そして“F”が大きな決断を“M”に伝えた。(以下、ネタバレを含みます)

同ドラマは、今最も話題の作家の1人である燃え殻のエッセイを国内トップクリエイターがドラマ化した話題作。阿部演じる作家“M”を主人公に、消えた彼女“F”(尾野)を巡る、大人の心に染みわたるミステリアスでビタースイートなラブストーリー。ディズニーの公式動画配信サービス・ディズニープラスの「スター」で毎週水曜に独占配信中だ。

久しぶりの再会、2人で旅行へ

「すべて忘れてしまうから」第9話より(C) Moegara, FUSOSHA 2020


浅草の演芸場で再会した“M”と“F”は久しぶりに食事を共にし、“M”の自宅へ。編集者の澤田(渡辺大知)から預かっている猫を見つけて喜ぶ“F”だったが、すぐに澤田が引き取りに来る。その後、“F”が「子どもの頃、ずっと猫を飼いたいと思っていた」と明かすと、“M”は「猫がいると気軽に旅行に行けないか」とぽつり。すると、“F”は「どこか行く? 一緒に」と提案し、2人は石川・能登へ出掛けることに。

観光地を巡った後、宿に着いた2人がくつろいでいると、テレビに無国籍女性の死体遺棄事件のニュースが流れる。被害者女性の気持ちをおもんぱかる“F”は、“M”から以前は真逆のことを言っていたと指摘され、自分自身が大きく変わったことに気付く。

東京に戻り、“Bar 灯台”を訪れた2人。カウンターで並んで飲んでいると、“F”が「ここで別れよう」と突然切り出す。それを受け、“M”は何の言葉も発することができないまま、店を出ていく“F”の後ろ姿を見送るしかできなかった。

“F”の決断に共感する面も

「すべて忘れてしまうから」第9話より(C) Moegara, FUSOSHA 2020


再会を果たしながらも別れてしまうという衝撃の展開だった第9話。その事実だけを記せば驚きであり、“衝撃的”なのだが、よくよく“M”の言動と“F”の表情を見ていれば、なんとなくこうなりそうだなとも思った。むしろどこからそれを決断していたのか、というのが男性の目線からすると気になるところ。

能登の旅行中に「(作家として人気が出て)退屈しなくて良いじゃん」という“F”と、「この旅もそうだけど、退屈くらいが性に合っている。ちょうど良いんだよ」という“M”。恐らく“M”の発言には、それくらい自然体でリラックスできるし、“F”とは一緒にいられるだけで楽しい、という思いが内包されていたのだが、それは男性側の勝手な言い分。牡蠣が食べられないこともそうだけど、言わなきゃ分からないのだ。

だから女性側の立場でストレートに受け取ると「私との旅は退屈なのか…」となる。それが“Bar 灯台”での別れのシーンにあった「楽し過ぎなくて、なんかちょうど良いから、ずっと続けられそうな気もしたけど…」という痛烈なカウンターパンチにもつながっている。無国籍女性の死体遺棄事件への反応の変化という点をとって見ても、一つの発言だけで別れを決めたわけではなく、少しの間距離を取ってみて、自分自身と向き合った結果、“ちょうど良い”くらいなら無理して“M”と一緒にいる必要はないな、自由に一人で生きていくのもいいなと“F”が思うようになったからなのだろう。