葉山奨之、「シコふんじゃった!」で“現代っ子”好演 心の揺れ表現する巧みさ&笑顔の魅力

2022/11/23 06:10 配信

ドラマ レビュー

まわしを締めて四股(しこ)を踏む葉山奨之“亮太”「シコふんじゃった!」第5話より (C)2022 Disney

1992年に公開された映画「シコふんじゃった。」から30年後の新たな物語を描くドラマ「シコふんじゃった!」で、伊原六花と共にW主演を務める葉山奨之。1995年12月生まれの彼はまもなく27歳となるが、同ドラマでは大学4年生の役。現代的な若者が初めて相撲に触れ、魅了されていく様子を丁寧に見せている。(以下、「シコふんじゃった!」ほか出演作のネタバレがあります)

“崖っぷち”大学生を演じる葉山

同ドラマは、映画「シコふんじゃった。」で監督・脚本を務めた周防正行が総監督となり、ディズニーの公式動画配信サービス・ディズニープラスで毎週水曜に全世界へ独占配信。またもや廃部の危機に直面する教立大学相撲部を舞台に、現代の若者たちの魅力がつまった青春ストーリーが繰り広げられる。

葉山が演じる大学4年生の森山亮太は、小学校から続けていた野球を大学1年生のときにケガで辞めて以来、何にも夢中になれずに漠然と大学生活を送ってきた人物。コネで就職の内定を獲得して喜んでいたのも束の間、単位不足で卒業が危うくなるという“崖っぷち”に。そんな亮太に教授の川村夏子(清水美砂)が卒業に必要な単位と引き換えに、相撲部に入って団体戦に出ることを提案した。

亮太がくるまでたった1人で相撲部を支えてきたのは、相撲以外のことはまるでポンコツな大学2年生の大庭穂香(伊原)。亮太は“まわし”を“ふんどし”と言ってしまったことで、穂香に一度は拒否されるも、なんとか入部を認めてもらった。そして、目標とする団体戦に出るには男女別で最低3人が必要で、亮太と穂香は部員集めに励んだ。第3話までに、社会人経験ありでバレエダンサーの野口レン(高橋里央)、筋肉ムキムキの伊藤悠真(森篤嗣)、亮太のゲーム仲間で引きこもりだった大学8年生・加藤俊(佐藤緋美)が仲間となるまでが描かれている。

揺れる気持ちを伝える葉山の表情作り

オンラインゲーム好きで、教授の顔も知らないままなぜか出席だけはとっていて、ちゃっかりとした面がある現代っ子の亮太。内定が決まった際に、同じ大学に通う幼なじみの西野咲(手島実優)に告白するも、「自分に甘い。上から目線。時間にルーズ。責任感がない。我慢が足りない。全部中途半端」との理由からフラれてしまった。

そんな性格の亮太は、卒業のためではあるが、最初は恥ずかしがって下着の上からつけていたまわしも正式につけるようになり、稽古にも真面目に取り組んでいた。そうして第4話で、いよいよ団体戦に挑んだのだが、結果は惨敗。ルールもきちんと把握していなかった負け試合に、OBたちに厳しい言葉を浴びせられた亮太は、やる気を喪失してしまった。

試合後には「終わって清々したよ」と言っていたが、心から相撲が好きであることを語る穂香の言葉には複雑な表情を浮かべた。

演じる葉山は、そのあたりの表情作りがうまい。眼差しや口元のちょっとした動きで変化を見せる。始まりはどうであれ、稽古に一生懸命な表情も、咲に言われたような自分に甘いことや我慢が足りない部分も見せつつ、いつしか相撲に魅了されている複雑な心情が伝わってきた。

11月16日に配信された第5話では、自身の気持ちに気付いて相撲部続行を決めた凛々しさがあった。そんな亮太の表情に、見ている者の気持ちもぐっと物語に引き付けられていく。