眞栄田郷敦“拓朗”、長澤まさみ“恵那”のありえない裏切りに絶望…視聴者も絶望で日本と世界で「#エルピス」がトレンド1位に

2022/12/15 17:34 配信

ドラマ レビュー

いちばん信じていた恵那の裏切り

「エルピス」第8話より(C)カンテレ


それ以来、恵那から連絡が来ないまま、「週刊潮流」での記事化は進んでいき、店頭に並ぶのを待つのみとなったとき、「未成年売春あっせん容疑の男を逮捕」と「ニュース8」で恵那が原稿を読み上げていた。しかも、優香がデリヘルで働いていたことも公表してしまったのだった…。容疑者の名前は「木村」。誰だ、それ。

当然、「週刊潮流」の記事は発売直前でボツになり、世間の関心は「中学生がデリヘル勤務」というスキャンダラスな方向に向かってしまった。そして、週刊誌の発売タイミングで予定されていた「連続殺人事件被害者の会」の記者会見も、遺族たちが「ウチの子も風俗で働いていたと思われたくない」と、中止を決めた。

テレビ局を解雇された拓朗


そして、拓朗はテレビ局を解雇になった。理由は「平川刑事を脅迫したため」…。この一連の出来事が誰のしわざなのか考えた拓朗だったが、いつのまにか敵を増やしまくっていたことに気づき、がく然とする。だが、これほど孤立していたのに寂しくも怖くもなかった。何故なら拓朗は恵那を心底信じていたから。「飲み込みたくないものは飲み込まない!」と泣いていた恵那、「本当に正しいことなら勝手に味方はついてくるし、道は開けていくんだよ」と言った恵那…そんな恵那にずっと救われていたことに、裏切られた今、気づいたのだった。

「エルピス」第8話より(C)カンテレ


拓朗の気持ちが流れ込んできて、こちらも絶望一色になる…。「救いがない。やり場がない」というのは、こんな感情なんだな…と思っていたら、退社する拓朗に向かって“武田信玄”が走り寄って握手を求めてきた。それは、以前「フライデーボンボン」で取材した俳優の桂木(松尾スズキ)だった。彼は、当時拓朗を「凡人」呼ばわりしたことを詫び、「僕は応援している。信じている。キミはどこで何をしていようと、まぎれもない一流のジャーナリストだ!」と、拓朗をハグして去っていき、拓朗の顔に笑顔が戻った。

このシーンがあって良かったと心底思った。これが無ければ、我々は絶望と哀しみを抱えながら次回までの1週間を過ごすハメになるところだった。Twitterコメントでも「信玄に救われた」「絶望からのこの展開。脚本に嫉妬する」「いきなりの信玄笑いどころなんだけど泣けた」などの声が溢れ返り、番組終了後には「#エルピス」が日本と世界でトレンド1位となった。

局を追われた拓朗は、フリージャーナリストになるようだ。これまで傷つきながら強くなってきた彼は、今回のことでさらに強く成長するはず。残り2話。彼や恵那が最後に見出すのは「希望」か「絶望」か…息を吞んで見守りたい。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部