11月30日からディズニープラスで配信中のオリジナルドラマシリーズ「ウィロー」は、1988年に公開されたロン・ハワード監督、ジョージ・ルーカス原案の映画「ウィロー」の20年後を舞台にした、いわゆるアフター・ストーリー的な一作。映画版で主役を務めたワーウィック・デイヴィスが、34年の歳月を超えて同じ役に取り組んでいることを筆頭に、キャスティングへのこだわり、気合の入れ具合は普通ではない。筆者もワクワクしながら見ているが、「やる以上、以前のものを超えて、さらにそれを進化・発展させなければ、取り組む意味はないじゃないか」という制作スタッフの声が聞こえてくるような入魂ぶりだ。今回はそんな本作でキーパーソンとなる救世主エローラ・ダナンの日本版声優を務める潘めぐみについてあらためて紹介したい。
映画のときはまだ赤ちゃんだったエローラだが、あれから20年の歳月を経たという設定のドラマでは、すっかり美しく成長した姿で描かれており、SNSでも「可愛い」「美しい」「So Cute」といった声が散見される。この“エローラ様”を、日本語版で、時にかわいらしく、時に切なげに、吹き替えているのが声優の潘めぐみだ。
声優・女優の潘恵子を母に持つサラブレッドで、まず女優として映画「櫻の園」(2008年)でデビューを果たし、その3年後の2011年に本格的に声優としての第一歩を踏み出した。そのスタートが「HUNTER×HUNTER」の主人公、ゴン=フリークス役なのだから、彼女にはよほど幸運の神がついているのだろう。子どもの頃から大好きだったという作品の、しかも主役にいきなり大抜擢。幸運といっても「櫻の園」に続いてオーディションで選ばれたのだからもちろん実力あってこそ。特にゴン役は100人を超える応募者の中からの起用となった。
ちなみに同アニメでは、母娘共演も果たしている。以後も度々母娘共演をしているが、同じ職業ならではの“演技指導”もあったという。母への思いについては、かつて映画のPRイベントで「母も同じ職業ですが、働きながら育ててくれました。夏休みにはヒーローショーや映画を見に行くなど、いろいろな場所に連れていってくれました。それが、今の仕事に関わることでもあるので、夢になることをやらせてもらったなと思います」と語っている。知らず知らずのうち、ある種の英才教育を受けていたというわけだ。
それから10数年を経た今も、アニメ作品から彼女の声が聞こえないときはないのではないかと思えるぐらいの活躍ぶり。個人的には「SHOW BY ROCK!!」「臨死!!江古田ちゃん」「ダンス・ダンス・ダンスール」あたりが印象深いのだが、どの作品の潘が特にお気に入りか、1万人いれば1万通りの答えが出るのではないだろうか。
「ハピネスチャージプリキュア!」の白雪ひめ/キュアプリンセス役を通じて、心の奥深くに潘が刻み込まれてしまった人もいるだろう。このアニメ、彼女自身も「声優としてのターニングポイントになった」と語っている重要な作品である。さらに、いわゆる外国人俳優の吹き替えでもアメリカのクロエ・グレース・モレッツ(「キャリー」「ダーク・プレイス」など)を筆頭に、やはり、数えきれないほどの役柄に取り組んでいる。
今回のドラマ「ウィロー」でエローラを演じるのはイギリスの女優エリー・バンバー。2010年代前半に舞台「上流社会」で注目を集め、以後、順調な活動を続ける期待の存在だ。潘の好演によって、日本でもエリーに大きな注目が集まることだろう。
また、潘は2023年6月22日(木)発売のPlayStation5ゲーム「ファイナルファンタジーXVI」で、ジル・ワーリックを演じることも決まっており、2023年も彼女の活躍から目が離せないだろう。
◆文=原田和典
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