柄本明の圧巻の演技と妻夫木聡“波佐間”の「生きろ」が心に響く<Get Ready!>

2023/01/16 10:57 配信

ドラマ レビュー

妻夫木聡“エース”と日向亘“スペード”(C)TBS

妻夫木聡が主演を務める日曜劇場「Get Ready!」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系) の第2話が1月15日に15分拡大で放送された。ゲスト出演した柄本明の熱演とともに、主人公・波佐間(妻夫木)の闇医者ではあれど、その矜持が見える展開となった。(以下、ネタバレがあります)

第2話は金の亡者の大学理事長がターゲット

同作は、多額の報酬と引き換えに手段を選ばず患者の命を救う正体不明の闇医者チームの活躍を1話完結で描く完全オリジナルの医療ヒューマンドラマ。演出は、映画、ドラマ、舞台で幅広く才能を発揮する鬼才・堤幸彦が担当する。

妻夫木演じる主人公・波佐間永介は、“エース”と呼ばれる闇医者チームの天才執刀医で、昼間はパティスリー「カーサブランシェ」でオーナーパティシエとして働くという2つの顔を持つ。そんな波佐間が率いるチームの面々は、波佐間の相棒ともいえる交渉人で表の顔は優秀な国際弁護士の下山田譲(通称:ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(通称:クイーン)を松下奈緒、若き万能ハッカー・白瀬剛人(通称:スペード)を日向亘が演じる。

第2話は、ジョーカーの元妻・千秋(市川由衣)が、将来医者になりたいと言っている一人息子を城和大学付属小学校に裏口入学させるため、2億円を用意してほしいと訪ねてきた。その城和大学では、理事長の坊城(柄本明)による裏口寄付金プロジェクトで莫大な金を得ていたのだった。その坊城は、がんで余命数カ月と宣告された。

柄本明が魅せた圧巻の演技

裏口入学をよく思わない息子の康之(三浦貴大)に理事長の座を降ろされた坊城。康之は、母=坊城の妻が10年前に亡くなったのは、医師でもある坊城の誤診がきっかけで、亡くなった日も坊城がプロジェクトに精を出していたと、憎しみを抱いていた。「母もあなたの理想の犠牲者だ」と言い放つ康之。

金の亡者となった坊城に生き延びる価値はあるのか見極めようとするエースは、「金のない理想は無意味」という坊城の発言が引っかかり、ジョーカーに調べるように指示する。

そして明らかになった坊城の理想は、日本の“医療格差”をなくすことで、へき地に病院を造るために動いていたのだった。

エースの頼みでスペードが配信設備を用意し、多くの医学生、卒業生らが見守るなか、坊城は“最期の講義”として語り始めた。

理想を追い求めながらも、家族を犠牲にしたこと、いつしか患者と向き合うことをおろそかにしていたことへの反省を踏まえ、「過ちをただす瞬間の風景は鮮やかだ。勇気をもってただしたからこそ、見える景色もある。だから恐れずぶつかってみてください」「一人の医師として一つ一つの命に誠実に向き合ってください」と願った。

坊城を演じる柄本の演技は圧巻だった。“講義”の以前から、病によって黄だんが出た症状のリアルさも驚きだが、秘めていた思いと後悔を明らかにしていく様は胸を打った。その語り口から、誰も聞いてはくれないだろうと思っていたところからの拍手されたことに感慨深げに画面に手を伸ばした姿まで、その熱演に感嘆する。

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