企画の段階から少しだけ関わらせていただきました。DIDを表現するのは題材的にすごく難しいと思うのですが、最終的にすごく面白い台本ができた時はワクワクしていました。ただ、元村は誰がやるんだろう?と、そこが気になって仕方なかったです。
元村役が竹内くんに決まったと知った時は、そんなビッグネームが来ると思っていなかったのでびっくりしました。すごく難しい役で、イケメンではいられないような人格があったりするので、キャラ的に大丈夫かな!?とは思いました(笑)。
自分の役作りについては、"妻を失くして父(自分)と娘の2人暮らしをしている刑事"を演じるため、今までとは違う、新しい引き出しを用意しなければならないのがすごく難しかったです。
とにかく台本よりも映像の方が断然いいものができているという手応えを感じています。大どんでん返しが何回もある作品になっているので、最後まで推理も楽しんでいただけたら幸いです。
今回DIDという難しい症例に向き合う中で、台本を読み解くことに一番時間が掛かりました。元村周太という役が、この物語全体においてどういう意味をもたらすのかを明確にしたことで、交代人格それぞれのキャラクターや役割をどう表現していったら良いかが見えてきた気がします。
撮影前から、監督やプロデューサーの皆さんとたくさんお話しさせていただきましたが、僕が感じたこと、思い付いたアイデアをすごく尊重して、受け止めてくださるチームで。だからこそリハーサルから、いろいろなアイデアが飛び交いました。
撮影では、それぞれの人格で沢村さん演じる獅子舞と向き合うため、僕からあらゆる球を投げさせていただいたのですが、沢村さんが大きい懐で受け止めてくださるので、その場で生まれるものがたくさんあり、すごく楽しい現場でした。
交代人格が登場するサスペンスではありますが、すべての人格が一貫して自分の愛情を勝ち取るために生きている姿をフィーチャーしていくので、人間ドラマとしても楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
僕目線での見どころは、やはり人格が変わる瞬間だと思います。それぞれの交代人格は、かなり緻密にこだわって出来上がったので、ぜひ楽しみにしてもらえたらうれしいです。
久しぶりに、自分の心が震える音を聴いた。竹内涼真さんの迫真の演技は、そんな忘れかけていた感覚を思い起こさせてくれる素晴らしいものだった。完全に度肝を抜かれた。想像した以上だった。
いくつもの人格を演じるのに、数多くの映像や書物を読み解いたという。しかし、かつては「多重人格」と呼ばれてきたその先入観にとらわれるのではなく、自らの既成概念や常識をアンラーンして、まったく新しい解釈で臨んだと聞いて、すとんとふに落ちた。
「目が離せない」「引き込まれる」、まさしくそんな言葉がぴったり当てはまる演技だったからである。きっと視聴者の皆さんもそう感じるに違いない。
そしてその全身全霊の竹内さんの演技を「受け止める」ように、ときに優しく包み込み、ときに鋭く相反する沢村さんの表現も、また素晴らしく必見である。共演が初めてとは思えないほどの、息が合った2人の緊張感溢れる「駆け引き」を充分に楽しんでいただきたい。
そしてもう一つ、付け加えておきたい。私は竹内さんの目の演技が好きだ。今回、竹内さんに「なぜ僕をキャスティングしたんですか?」と聞かれて、即座に「目です」と答えた。竹内さんの「目力」や「目の表現」が、人格が変わるごとにどのように変化していくのか、そんな見事な豹変ぶりも見どころの一つである。
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