――お2人は2018年の「エーステ」第1作から至とシトロンを演じ続けていますが、長い間同じ役を演じる醍醐味と難しさをどんなところに感じていますか?
立石:5年間同じ役を演じることは初めてですが、5年間やっていても毎回試行錯誤しています。何事も簡単にはできなくて、公演のたびに自分の考える至、春組の中での至も変わっていって。そんな中で、みんなと再会して新しく作っていくと、みんな前回より違うところがあるし、自分の中でも“前よりできるようになった”というところがあるんですよね。それを感じたときに、「パワーアップしてる!」とうれしさを感じます。そして、ありがたく続投のお話をいただいて、同じ役を演じられる喜びも大きいです。難しさは…いくらやっても終わりがないところかな。どの作品でもそうだと思いますが。
――古谷さんはいかがですか?
古谷:役者ってステキな職業だと思ってるし、やりがいがあるから続けてるんですけど、ものすごく刹那で寂しい部分もあると思うんです。“会社にいれば同じ顔に会える”ということはなくて、舞台だと長くても半年、短ければ1カ月もせずに座組とお別れする…っていうのをずっと続けていく仕事だから。だからまず、5年間という長い時間一つの役と向き合えることで、人としての器や経験値が単純に何倍にもなるなって思います。醍醐味の一つはそれですね。
2カ月間しか過ごさない役のことはその期間しか考えないけど、これだけ長く演じていると、例えばドアを開けるときも「シトロンくんってどうやってドアを開けるんだろう」と、何でもないようなことが私生活にも入ってくる。自分なら絶対そんな考え方、動きをしなかっただろうなと思う言動を、シトロンくんがくれているような気がして。だから経験値が倍になったように感じて、ものすごく大きくなれる気がします。自分自身が人として大きくなったという感じはしませんが(笑)、シトロンくんが偉大なゆえに、今もありがたみを感じながら演じていますね。
だからこそそれが難しさにもつながって、カントクも5年間一緒に歩んでいるから、本当にちゃんと向き合っていないとすぐバレるんだろうな、って(笑)。そんなキャストがいないところが「エーステ」のすごいところなんですけど。難しさはずっとありますね。“長い間向き合っているから演じられる”というほど簡単なキャラクターたちじゃないから。ずーっと「自分がシトロンくんなんて演じられるんだろうか」と思いながら、5年間過ごしています。
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