――お2人が歴代「エーステ」の中で、特に印象に残っているシーンやセリフなどはありますか?
古谷:僕は作品が終わったらすぐ切り替わっちゃうタイプで、セリフとかもすぐ出てこなくなるんですけど…初演の「SPRING & SUMMER 2018」で最初に咲也がセリフを吐くシーンは、どこの袖から登場して…というところや照明の色味まで、いまだに覚えていますね。二度と来ない始まりだから、一生忘れられないかもしれません。
立石:各公演で印象的なシーンがあるので難しいですが…ぱっと思い浮かんだのは、「SPRING & SUMMER 2018」の劇中劇でやった、千秋楽だけの特別演出です。至が怪我をするシーンを幕前に出てやって、隣にシトロンが来て…。当時、僕は舞台を始めてまだ2、3年目で余裕のない時期だったんですよね。なのに自分よりはるかに演劇をやっている大和さんと、至のすてきな部分が垣間見える大事なシーンを一緒にやるという。数回だけの演出ですごく緊張したし、“いいシーンにしたい”という思いも強かったですし…その後の劇中劇も本当にみんなが全身全霊でぶつかって作って、印象に残っています。
それから、「SPRING 2019」劇中劇での第三回公演『ぜんまい仕掛けのココロ』。大和さん(シトロン)が演じる“S”ですよ!いつの間にそんなロボットみたいな動きを稽古していたんだ!って。リアルな動きにまず感動しました。原作にもその動きはないし、芝居の動きが細かくつけられていたわけじゃないですよね?
古谷:つけられなかったね。
立石:大和さんに任せられていたと思うんですけど、その中であれだけ細部まで突き詰めたものを見て、動きだけじゃなくてお芝居にも集中していけるのがすごくて。僕(至)は語り部として存在していましたけど、やっぱり「いいシーンにしたい、邪魔したくない」という思いが強かったです。舞台上では研ぎ澄ました神経でやって、袖にはけたとき「すごいな!」と感じたことを今も覚えています。今でもそういう記憶が自分を後押ししてくれていますね。
――5月に開幕する最新作は、新生春組第五回公演『Knights of RoundIV THE STAGE』で至、第六回公演『春ケ丘Quartet』でシトロンがそれぞれ主演を務めます。ここを見てもらいたい!という見どころは?
立石:まず、第五回公演にしてようやく至の主演を演じさせてもらうというのが「ありがとうございます!」という感じですね。自分としても待ちに待っていました。みんなが主演を経験して、「うらやましいな」って。大変な部分も絶対あるけど、その分やりがいも大きいだろうなと、ずっと楽しみに待っていた念願の公演なので、ここに懸ける思いは強いです。
――物語的には、至の同級生だったという新キャラクターの外岡巧も登場します。
立石:外岡を演じる武東(賢杜)くんとは「テニミュ」(ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン)で共演していて、実際に同い年なんです。彼が外岡役に決まったとき、「俊くんだからやることにした」という連絡をもらって、「うれしいね!」って。久々の共演は楽しみです。至の過去も明らかになりますし、僕も原作で感動をもらった場面なので、力を入れてやっていきたいですね。あとは、殺陣!あの大きな剣をどう扱えばいいのか…結構不安です(笑)。片手で持てるのかなぁ?ビジュアル撮影でも「これを振り回すのは…難しいな」と思いました(笑)。
――古谷さん演じるシトロンは、『春ケ丘Quartet』で天才バイオリニスト役を務めます。
古谷:俊くんが“S”に優しく温かく触れてくれましたが、僕は歌も踊りも得意な方ではなくて、楽器なんてもってのほか。バイオリンが弾けるシトロンくんにどうやって向き合っていこうか…。これまでも幾度となく感じた「このキャラクターを僕が演じることができるのかな?」という不安をまた感じながら向き合っていくんだろうなって、ビクビクしてます(笑)。
でも、相も変わらず春組もシトロンくんもとってもステキなんですよ。『Knights of RoundIV THE STAGE』と『春ケ丘Quartet』で全く毛色の違うものになるだろうから、1公演で2つの作品を味わえると思います。主演のうれしさとは別に、似通っていない作品を2つ、春組が見せられるのが楽しみです。「どんなふうに演じるんだろう」と期待してくださる方がたくさんいると思うので、そのまま、引き続き楽しみにしてもらえるといいなと思っています。
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