廣木隆一作品に抜擢の瀧内公美「自分の恥ずかしい部分が全部見えてきた」

2017/07/05 06:00 配信

映画

「ヴァイブレータ」(2003年)、「さよなら歌舞伎町」(2014年)の廣木隆一監督が、自ら執筆した小説を映画化した「彼女の人生は間違いじゃない」。震災で母親を亡くし、今は福島の仮設住宅で父親と暮らしている主人公のみゆきは、週末になると東京でデリヘルのアルバイトをしているという設定。そんな難しい役どころを、オーディションで抜擢された瀧内公美が熱演している。

【写真を見る】「私って結構見栄っ張りなんだなと思いました(笑)」という瀧内公美撮影=大石隼土


――オーディションを受けようと思った一番の理由を教えてください。

最初に脚本を読ませていただいたときに、余白があって、言葉が少ない作品だと思いました。今は情報社会ですし、言葉数が少ないと伝わりにくかったりするかもしれませんが、生きている中で完璧な答えはないし、自分のした選択が本当に正しいかなんて、わからないと思うんですよね。この映画では、そういう不確かなものが描かれていて、その状況にならないと見えてこないものがきっとあると思うんです。だからこそ挑戦してみたいと思いました。

――瀧内さんが演じられたみゆきは、とてもハードルの高い役だと思いますが、戸惑いはなかったのでしょうか?

本当に難しい役でプレッシャーは感じましたが、この映画を見た人が救われる瞬間というか、誰か一人でも「私の気持ちを分かってくれる人がいる」と思ってくれるなら、やる意味があると思いました。あと、みゆきを演じる上で、実際にデリヘルで働いている女性にもお会いしたのですが、話を聞いてみると、その職業を選んだ理由がちゃんとあって、それが彼女たちの人生につながっているんです。みゆきのような女の子が少なからずいるということを伝えるのがこの映画の役目だと思ったし、私自身、この映画のそういうところに心をひかれました。

――廣木隆一監督は演技に厳しい方だと聞きますが、実際にはいかがでしたか?

廣木監督はストレートに物事をおっしゃる方で、私も『おまえは自分に甘いんだよ』と言われました。すごく悔しくて、泣きながら親に電話をしたら、親からも『そんなに自分に自信があったんだ』と言われて(笑)。大人になると自分の見せたくないところはカバーすると思うんですが、廣木監督はそういうところを全部排除していくんです。そうなると自分の恥ずかしい部分が全部見えてきて、キツくはあるんですが、だからこそ表現できたものがたくさんあったと思いますし、それまでは気づいてなかったけど、私って結構見栄っ張りなんだなと思いました(笑)。