河合優実「こんなに面白いと実感できる台本もなかなかない」主演ドラマへの思いを明かす<家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった>

2023/05/09 18:30 配信

ドラマ

河合優実(C)NHK

エネルギーみたいなものを受け継いだ感じです


――岸田奈美さんの原作を読んだ感想を教えてください。

私の感覚で言うと今演じている七実よりもご本人の方が底抜けに明るいかもしれないです。原作からは離れて、ドラマ上の七実を作っている感覚なので、若干の違いはあるんです。でも岸田さんが生まれ持っているエネルギーと家族に対する愛は本当に受け取るものがありましたし、すごくエネルギッシュな文章で、読んでいるだけで100以上伝わってくるというか。人物像っていうよりもエネルギーみたいなものを受け継いだ感じです。

現場にお母さんと弟さんと3人でいらしてお会いした時に、本当に思った通りの、手を取り合って生きてきた3人、明るく温かく生きてきた3人を体感しました。その日を境にどんな結果になっても、何を描いたとしても、本当に岸田家に胸を張って心をこめて「一生懸命家族のドラマを作りました」と言えるようにはしたいと、強く思うようになりました。

葵くんとおしゃべりしたいということしか思わなかった


――七実の弟を演じる吉田葵さんの印象を教えてください。

彼がダウン症であることを忘れてしまうくらい、本当に楽しく一緒に弟として接しているし、自然に関係を築きあげてきていると思います。クランクインする前に家族のキャストみんなで会う時間があったんです。私もダウン症の方とお芝居したこともないし、ちゃんと面と向かって会話したこともなかったので、構えるフィルターはありましたけど、部屋に一歩入ってあいさつしたところから、本当に葵くんと仲良くなりたい、葵くんとおしゃべりしたいということしか思わなかったです。

本当に最初の数秒で構えはなくなりました。それは人と人として私が吉田葵くんに惹かれたから、面白いと思うから、かわいいと思うから、それしかないですね。でも葵くんにとって、苦手だったり時間がかかることがあるのは事実なので、彼に演じてもらうというのはすごく大きなことで、やっぱり簡単なことじゃなかったです。

ドラマでこういうことをしている作品をあまり見たことがないし、日本の映像作品の中では大きな一歩で、みんなそこに対して努力をしたと思います。葵くんができないこと、立ち止まってしまっていること、時間がかかっていることに対して、みんな思いやろうと努めています。本来それは葵くんに対してだけじゃなくて、みんながみんなに対してすることだというのは考えますね。そしてこの作品で葵くんが希望や勇気を与える人が日本中にどれだけ居るか、それを誇りにさえ思います。