また、入院中の先輩芸人・谷(藤井隆)の見舞いに行った若林が帰宅すると、TVが消えていた。祖母(白石加代子)が「TV観てる時、マサくん楽しくなさそうなんだもん」と、押し入れに入れてしまったのだ。「だったら、壁見てた方がいいでしょ?」と言う祖母と、若林はTVの消えた壁を眺めながらお菓子を食べた。何かちょっとだけ幸せな気持ちがした。
数カ月の入院から谷が復帰した。以前と変わらず元気いっぱいのパフォーマンスの谷を見て「たいしたことなくて良かった」と思うが、ショーパブの支配人に「たいしたことない人が何カ月も入院するか?」と言われ、ハッとする。そして、「私、今幸せかもー! 私、生きてる!」と何度も大声で叫ぶ谷を見ながら、若林は涙が流れるのだった。
『エンタ』の収録をしてもオンエアされない、ショーパブでもウケない、仕事ももちろん増えない…。「生きながら死んでる」若林は、「車に轢かれたら、TVに出られるかな…」と道路で大の字になって寝転がったりするほど、ヤバい精神状態になっていた。転がったまま「オレは何なんだよっ!」と、やり場のない気持ちを吐き出す若林の姿に、視聴者からは「この後ブレイクするってわかってるけど、若林さん早く売れてほしい」「しんどくて胸が絞めつけられる」など、ツラい気持ちにシンクロしたコメントが投稿され、「若林さん」もトレンド入りした。
そして2009年。大ブレイクして、『エンタ』にもコンスタントに出られるようになったオードリーだが、インタビューなど需要は春日ばかり。収録後もひっぱりだこの春日を横目に、「じゃない方」の若林は1人楽屋に戻っていくのだった。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部
※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)