永山瑛太の不思議な魅力「クズ」「クセが強い」役どころでもなぜか憎めない稀有な存在

2023/05/21 07:10 配信

ドラマ コラム

永山瑛太※2022年ザテレビジョン撮影

「クズ男」「最低!」と、放送のたびにネット上で(特に女性視聴者から)罵倒される男・吉野陽一。放送後にはTwitterでドラマ名のハッシュタグがあふれて毎週トレンド入りするなど、ことSNSにおいては今クールでも屈指の反響を呼んでいるドラマ「あなたがしてくれなくても」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)で、“クズ男”こと陽一を演じているのが永山瑛太だ。(以下、ドラマのネタバレを含みます)

どこかかわいらしく、憎めないクズ役がハマる


彼が同作で演じるのは、主人公・みち(奈緒)の夫・陽一。陽一は、序盤から自己中全開で、妻のみちとはシナイくせに、自身が雇われ店長をしている喫茶店のアルバイト・結衣花(さとうほなみ)とはあろうことか店内でシてしまうゲス不倫を披露。かと思えば、みちへの愛情は深く、彼女を失いたくないとの思いから結衣花に「なかったことに…」と告げて突き放すなど、卑怯にもほどがある。

そんな女心を踏みにじる陽一に視聴者はイライラさせられるが、第5話では姉の子ども相手に父親のような表情を見せるシーンもあり、「素のパパ顔にキュン」と悶える視聴者も…。クズな男を演じる時は死んだ魚のような目で(失礼)冷徹さを醸し出しながら、愛情を表現する時はその目から心の温かさがにじみ出る。永山の持つ独特で不思議なオーラが、やっていることは最悪でも、どこかかわいらしく不思議な魅力があり、憎めない人物像を浮かび上がらせる…つくづく彼の演技力には脱帽である。

永山瑛太※2022年ザテレビジョン撮影

「リコカツ」や「最高の離婚」でもクセの強い夫役


“カメレオン俳優”とも呼ばれ、さまざまなジャンルの作品に出演している永山だが、一癖も二癖もあるキャラクターを演じた作品が印象深い。

特に、今作のように夫役で出演した作品でクセの強い夫役が多いイメージだ。記憶に新しいのが、北川景子と夫婦役を務めた「リコカツ」(TBS系/ディズニープラスほかで配信中)での、堅物で真面目な夫・緒原紘一役。航空自衛隊の一等空曹というキビキビとした役どころだが、女性に不器用なうえ、早口で自分の意見を押し付ける強烈キャラをコミカルに演じた。今どき珍しい古風な男で、無意識にデリカシーのない言葉も発する紘一だが、やはり彼も憎めないキャラクターで視聴者の心をつかんだ。

また、彼の代表作に挙げられることも多い「最高の離婚」(2013年、フジテレビ系)でも、ことあるごとに「ツラいツラい」とひねくれ、妻の不平不満を漏らす、人付き合いが苦手なクセの強い男・光生を好演。この役について、永山は「本当につらくて、きつくて、自分まで落ち込んでしまった」と語っていたものの、連ドラ終盤の撮影時には「やっていくうちに光生が浸透していって、自然に動けるようになって“光生ハイ”みたいな状態になっていくんです。これは演じる楽しさでもあるんですが。“光生ハイ”状態を通り越してもう1クールでもできそうな感じ(笑)」とコメントするなど、楽しみながらクセの強い役を演じられるのが彼のすごいところだ。同作は連ドラの翌年にはスペシャルドラマとしても放送されるなど、今も語り継がれる人気作となった。

永山瑛太※2017年ザテレビジョン撮影

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