穣も居住まいを正して「うん、どうぞ」と真剣な表情を豊に向ける。すると、豊は意を決したように息を飲んでから「僕は…」と話し始める。話をするのに覚悟がいるほどのトラウマが豊にあると思うとそれだけで辛くなる。
種の描いたかわいい似顔絵で豊の過去の話が展開し、豊が過去を語る。豊は小さい頃に実の両親が亡くなって8才のときに親戚のうちに養子に迎えられる。新しい家はとても裕福で、新しい父母は実の子と同じくらい不自由なく育ててくれた。豊は恵まれていたが、5つ上の兄は豊のことを受け入れられないでいた。兄から「お前食べ方も知らねぇの?なんかこいついるとメシまずくなる」と言われてしまう少年の豊。
豊は似顔絵を持つ手を震わせながら「大人になって友達や気になる人ができても、僕はずっと誰かと食卓囲むのが怖かった。実の親の味も思い出せなくて。僕には幸せの食卓の記憶がない。それは人としてすごく欠けてる気がしたんだ。でも、そんなとき」と言って、「ゆかたも一緒に食べよう」と満面の笑みで誘う種と「豊は居てくれるだけでいい」と静かに存在を受け入れてくれる穣を思い出す。
「2人に会って一緒にご飯を食べれるのが、僕は生まれて初めて幸せだと思ったんだ。だから、その、何が言いたいかというと、ありがとう。あのとき僕に声をかけてくれて」と泣く豊。時折眉を震わせて鼻をすすりながら、素直に涙を流す豊にこちらも号泣してしまう。
穣も涙を浮かべながら、豊にティッシュを渡す。そこにはしゃいだ種がやってきて、「兄ちゃんが、兄ちゃんが…」と種の方が声を上げて泣く。穣は種を軽くあしらって抱っこしてあやすのだった。
豊の過去が辛いことも泣けるが、豊が穣に話せたことに感涙。豊にとって似顔絵で隠さなくても感情をさらけ出せる穣が居て本当に良かったと心の底から思える。Twitterでも「だめー、なくー」「種ちゃんがユカタの分まで泣いてくれた」「涙で画面見るのが大変」「やばいやばいもう涙腺崩壊」と泣かされた視聴者のコメントが多く寄せられた。
◆構成・文=牧島史佳
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