――第5話以降、「6号車」も登場していますが、こちらも同じような規模で作られたのでしょうか?
二見:6号車は村のようなところで暮らしているという設定なのですが、村自体はロケで千葉の山奥に行って撮影をして、外装はいろんな地形を利用しながらCGで合成をして6両目を作っています。
野中:6号車の車両自体はほとんど5号車と変わらないのですが、ただ運転席があるので、そこの部分だけパネルや壁を追加しています。
台本のト書き上、(6号車は)中に仕切りが出来ていて、そこに住んでいるという設定だったので、実際のリアルな自然木で電車の中を区切ることによって、5号車とは全く違う印象のある作りになってます。
二見:それに加えて我々は電車の片側を全てLEDにしていて、セットではオープンの樹海の風景を表現してるんですけど、その利点を生かして6号車では違う風景をそのLEDに映しています。
電車自体は6号車も5号車も基本的には同じなので、映し出す景色によって全然違う場所にあるように見えるというLEDを使い分けています。
――キャストの皆さんはこだわりがつまったセットを見た時にどんなリアクションをされていましたか?
二見:撮影はオープンセットの方から始まったんです。僕らもオープンセットには自信を持っていて、すごくよくできているので、(スタジオに)入ったらみんな「わー!」ってリアクションしてくれて。
撮影中はオープンセットと電車の中のスタジオのセットとを同じシーンで行ったり来たりすることがあるんですけど、電車の中のセットをオープンの方では全部作っていないので片側しか撮れなくて、残りはセットで撮ってるんです。
そんな中で役者さんが「これはなるべくオープンで撮ったほうがいい」と話しているのが偶然聞こえて。「セットに行くと電車の中だけになっちゃうから、これはもうなるべくオープンで撮らなきゃだめだね」って話していたんです。
あとは、緑山のセットの中もLEDや3DCGを立ち上げてすごく作り上げているのですが、そこに入ってきた山田さんが「すごい。テレビドラマのクオリティ超えてる」と言っていたのが聞こえてきた時はうれしかったですね。
――最後にオリジナル作品だからこそ感じる美術スタッフとしての楽しさややりがいがあれば教えてください。
野中:楽しんだというより苦労した点でもあるのですが、やはりリアリティを求めました。
今回は特に樹海であるとか、車両もそうですし、オープンセットもそうなんですけども、とことん“本物”に近いものを“本物”を使って作ることが僕の使命といいますか、いつものドラマのデザインとはまた違ったところが非常に楽しかったです。
二見:昔は原作ものが多くて、そういう場合、やっぱり漫画などをもう一回見直すことがあるのですが、今回はそれがないわけじゃないですか。(立ち返るとすれば)台本と企画書なんですが、そうなると監督やプロデューサーと話し合う時間が長くなったなと思っていて。
それによって自分たちの意見が取り入れられやすいというか、オリジナル脚本であることによって、いい文化の中でいい作品作りができるっていうのがすごくいいなと思いました。
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