ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。6月4日放送の第9話で、オードリーの“ズレ漫才”が遂に完成。そして、「M-1」の敗者復活戦から決勝に進出して準優勝を果たしたエピソードが描かれた。若林を演じる高橋海人と春日を演じる戸塚純貴の、オードリーの漫才の完璧すぎる再現度、また、ここまでもがき苦しんだ若林がやっと報われた事などに視聴者も胸を熱くし、第9話も「#だが情熱はある」が、Twitterトレンド1位に。番組終了時点でツイート数は11万超となった。オンエア終了後も熱量は収まらず、朝6時を回る頃まで約7時間に渡り1位をキープした。(以下、ネタバレを含みます)
このドラマは、若林と山里の半生を基にした、“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない2人の友情物語でもないし成功物語でもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。
若林は、芸人仲間や放送作家から「春日のツッコミは的ハズレ」「春日はポンコツ」と言われて、春日のツッコミ間違いや噛んだ数をチェックしようと、トークライブのVTRを見返してみた。そして、春日がズレたツッコミをして、それに対して若林がツッコミ返す、というやりとりを見た若林は、「コレを漫才に生かせばいいんだ!イケる!」と、目を輝かせた。
この、誰もやっていない新しい“ズレ漫才”を“発明”した若林は、体にマグマが流れるような高揚感に包まれて興奮した。そして若林は、春日をテクノカットにして髪を7:3に分け、ピンクベストを着せて、今ではおなじみの「オードリー春日」スタイルを作り上げた。若林は、自分が「面白い!」と思った感覚を信じて、“ズレ漫才”を極める事にする。
だが、2006年の「M-1」は、まさかの2回戦で敗退。「これで売れる!」と確信するぐらい自信があった“ズレ漫才”が、ノリで出ている素人と同じ2回戦止まり…。若林は再び八方ふさがりの暗闇へ堕ちてしまった。
そんな若林に対して春日は言った。「“春日”は、こーゆー時ヘコんだ方がいいんですか? アタシとしては平気なんですが、“春日”は、どーなんですかね?」。「平気」…悔しいとさえ思わないのだろうか…。若林はまた、1人で辛さを抱えなければならなかった。「ホントどうしたらいいかわかんない」――そう言った若林の声は、本当に策が尽きて絶望した人間の声だった。そして、春日を見ずに「ヘコみもしねぇし、ヘコんだフリもしねぇのが、“春日”だよ」と吐き捨てて、春日の部屋を後にした。
その帰りに会ったガールフレンドの智子(中田青渚)が、いつものように「面白いです!」と言ってくれたのに、気を遣わせていると思った若林は、強い口調で「やめてよ!」と当たってしまった。そして帰宅後も、彼を慰めようと祖母がくれたエクレアを、いろんな感情が処理しきれず爆発しそうだった若林は、窓に思いっきり投げつけた。でもそれは、おばあちゃんの“優しさ”を投げつけたのと同じだ。若林は、床に落ちたエクレアの残骸を泣きながら食べた。
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