ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。6月4日放送の第9話では、「M-1」準優勝後、コンビ内格差が開くばかりの南海キャンディーズの様子が描かれた。コンビ仲も最悪で、山里(森本慎太郎)につらい仕打ちを受け続けていたしずちゃん(富田望生)が、それでもコンビをやめなかった理由が、彼女の口から語られた。また、山里本人が封印したいほどの「黒歴史」の「日本アカデミー賞」での大スベリエピソードも再現された。(以下、ネタバレを含みます)
このドラマは、若林と山里の半生を基にした、“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない2人の友情物語でもないし成功物語でもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。
南海キャンディーズは、「M-1グランプリ2004」で準優勝して以来、忙しく働いていたが、注目されるのはしずちゃんばかり。そのコンビ内格差は開く一方だった。商店街でロケをしても、サインや写真をせがまれるのは彼女だけ。収録中も頑張ったところで「しずちゃんに話振って」とカンペを出されるのが常だった。
休憩中にファンに囲まれてるしずちゃんを嫉妬混じりの眼差しで見ていた山里の気持ちを察したプロデューサーの島(薬師丸ひろ子)が「つまんない?」と声をかけてきた。そこで山里は、以前彼女に「嫉妬やみじめな感情を覚えとけ」と言われた事を持ち出し、「覚えとくどころか、毎日増えてく一方なんですけど」としずちゃんから目を離さずに言った。
すると、島は「私もね、おんなじ」と告げた。そして「すぐ忘れて?」と前置きして、コント番組として始めた枠が視聴率不振で方向性を変えざるを得ず、試行錯誤してるが結果に結びつかない。“自分は世間とズレてるんじゃないか”と思い始め、高視聴率の番組が羨ましくて悔しくてムカついてる自分がみじめで…と、心の内を話し始めた。その感情は山里と同類だった。
そんな中、山里の妨害も虚しくしずちゃんが出演した映画「フラガール」が公開となり、大ヒット。女優としても高い評価を受け、さらに格差は開いていった。山里は「フラガール」のチラシを部屋の壁に貼り付け、「復讐ノート」にページいっぱいの大きな字で「負けない。しずちゃんには絶対に負けない」と書き殴った。山里は、彼女が映画の出演クレジットの「山崎静代」という本名表記の後ろに、(南海キャンディーズ)と付けた気持ちなど考えもしなかった。そして、2006年の「M-1」の参加は断念した。こんな状態でいいネタなどできるわけがないのだから。
その後山里は、しずちゃんが「日本アカデミー賞」の新人賞を受賞したからなのか、その授賞式で受賞者インタビュー担当に抜擢された。マネージャーは「今日で人生変わるよ!」と大ハリキリだったが、畑違いな上に大スターばかりで、大した場数も踏んでいないぽっと出の大阪芸人には荷が重すぎた。山里は完全に飲まれてしまった。
ボケてはスベり、いわゆる「俳優ジョーク」も上手く切り返せず、挙句の果てには時代劇の大御所監督にとんちんかんな質問を繰り返してキレられる始末。しずちゃんへのインタビューでもテンパる山里に、彼女がボケて助け舟を出したにもかかわらず、拾えずに「おめでとうございます」と台本通りの受け答えをしてしまう、という今の山里からは考えられない大失態を犯して、彼はマネージャーと逃げるように裏口から帰ったのだった。「まさかこのエピソードをドラマで採用するとは…」と、山里本人が嘆くほどの「大黒歴史」だ。
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