そんななか、偶然優斗と再会した直哉。優斗は、これから起きる災害、そして未来に残ってきた人々を助けるためにも紗枝たちとの「声を上げる」計画に誘うが、直哉は以前に戻ったかのように否定的だった。
絶望の中にいる直哉は「戻りたい、あの場所に」と願うようになっていた。「なんでそんなふうに」と問い掛ける優斗に、「それはさ、ここがさ、この世界がさ、最低でクソみてぇなとこだからだよ!」と叫び返した。
優斗が「死んだ目」と表現した表情を作り上げた山田裕貴の演技に引き込まれた。インタビューで「『ペンディングトレイン』に対して“僕の集大成をここでぶつけるべきだ”と感じたんです」と語り、またTwitterでは「僕の大好きな大切な第9話」と明かしていただけに、まさしく魂が込められた演技。目だけでなく、全身から“直哉”の感情があふれ出しているのがすごい。
あの過酷な生活を優斗たちと乗り越えて、ようやく戻ってきたのに、「最低でクソ」と言わしめてしまう世界が悲しい。
だが、直哉は紗枝が未来の世界で気づいたように、本来は優しい人。
その後、火災現場に出動した優斗は、野次馬に気づかれ、仕事ができない状況に陥った。それがSNSで炎上につながってしまい、それを知った直哉が優斗の元に駆け付けたのだ。冷ややかな言葉をかけながらもその裏に優しさが潜んでいるのが分かる。だからこそ、優斗が「萱島さんの言う通り。最低だな、ここは。(中略)こんな世界、もう終わればいい」とまで言う様子に驚きを隠せない表情が胸に迫った。
すると、直哉は「そうだよな、クソだよな。でもお前が言うな」と声をかけ、優斗の左肩をグッとつかんだ。
先の再会した場面で、直哉は優斗の左肩をポンと左手で触って「命が助かっても救われないんだよ」と力なく言っていた。だが、今度は力が込められ、優斗を心配し、奮い立たせようとしていることが伝わってきた。
最終回直前となる第9話が、これほどに悲しみに包まれるとは予想できただろうか。直哉が弟と再会して流した涙に始まり、希望から絶望へ追いやられた悲しみ、そして“バディ”だった優斗への気遣いと、山田が表現した直哉の姿にもらい泣きする展開となった。
SNSでの反響も大きく、タイトルがTwitterの世界トレンド1位に。「これでもかと地獄だったんやけど」「爆泣きした」「山田裕貴さんの演技ってほんと魅了される」「山田くんの演技圧巻だった」といった感想が寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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