宮沢りえ主演映画「月」公開決定 障がい者殺傷事件をモチーフに描く問題作

2023/06/30 09:00 配信

映画

石井裕也監督コメント


この話をもらった時、震えました。怖かったですが、すぐに逃げられないと悟りました。撮らなければいけない映画だと覚悟を決めました。多くの人が目を背けようとする問題を扱っています。ですが、これは簡単に無視していい問題ではなく、他人事ではないどころか、むしろ私たちにとってとても大切な問題です。

この映画を一緒に作ったのは、人の命や尊厳に真正面から向き合う覚悟を決めた最高の俳優とスタッフたちです。人の目が届かないところにある闇を描いたからこそ、誰も観たことがない類の映画になりました。異様な熱気に満ちています。宮沢りえさんがとにかくすさまじいです。

長井龍プロデューサーコメント


目の前の問題に蓋をするという行為が、この物語で描かれる環境に限らず、社会の至る所に潜んでいるのではないか、という問いが映画「月」には含まれています。

障がい福祉に従事されている方にも本作をご覧頂き「この映画を通して、障がい者の置かれている世界を知ってもらいたい」という言葉も預かりました。本作を届けていく必要性を改めてかみ締めています。

そして、映画製作を通して、この数年で障がい福祉の環境が変わろうとしている現実も目の当たりにしました。そのこともまた、社会の持つ可能性のひとつだと信じています。

映画「月」あらすじ


そして、その日は来てしまった。

深い森の奥にある重度障害者施設。ここで新しく働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は“書けなくなった”元・有名作家。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平(オダギリジョー)と、ふたりでつつましい暮らしを営んでいる。

施設職員の同僚には作家を目指す陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)らがいた。

そしてもうひとつの出会い――洋子と生年月日が一緒の入所者、“きーちゃん”。光の届かない部屋で、ベッドに横たわったまま動かない“きーちゃん”のことを、洋子はどこか他人に思えず親身になっていく。

しかし、この職場は決して楽園ではない。洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだ。

彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく。そして、その日はついにやってくる。